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    85_yako_p

    カプ入り乱れの雑多です。
    昔の話は解釈違いも記念にあげてます。
    作品全部に捏造があると思ってください。

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    85_yako_p

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    タケ漣ワンドロ3「かみ」
    クロファン(2019/06/19)

    ##タケ漣ワンドロ
    ##クロファン

    たいしたもんじゃないよ 聖書を読み上げるファングの声が聞こえる。
     どうせターゲットは祝詞のようなそれしか聞いていないだろう。そう確信しクローゼットの扉を少し開ければ、柔らかなオレンジ色の光をまとったファングの声が明瞭になる。
     ベッドに腰掛けたファングは、位置の関係で表情だけがうまく見えない。本に目を落とすように少し傾いた首筋を、銀色の髪がさらさらと流れている。ぼやけた灯りに、甘い色を与えるように。
     一糸まとわぬ……単刀直入に言えば全裸のファングの膝を割るように、今日のターゲットが座り込んでいた。
     ファングは淡々と聖書を読み上げる。ターゲットはひたすらにファングの内太ももに顔を擦り付けている。時折、汚いリップ音が響く。聖なる言葉を、ファングを穢すように。
     やがて、その髪の薄い頭が持ち上がる。不健康そうな舌が腹をつたい、ファングの首筋に伸びた。ファングは救いを与えるようにその頭をなでて、後ろに倒れ込む。シーツの海に髪がきら、と揺蕩った。
     覆いかぶさりでもするつもりだろう。ターゲットが一度立ち上がる。ファングとの距離がひらく。下卑た、と呼ぶにはあまりにも切羽詰った顔が見える。その頭に焦点を合わせて、引き金を引いた。

     サイレンサーとはスグレモノだ。ターゲットは、銃声にすら見送られることもなく床に倒れ込んだ。

    「あー、狭苦しかった。こんなとこ、スーツで入るもんじゃないね」
    「チビだから余裕だろ」
     ようやくクローゼットから出ることができた。ベッドに寝転んだままのファングと目が合うと、どちらからともなく笑ってしまう。
    「…………てんしさまだって、ファングのこと。傑作」
    「気持ちワリーやろうだったな。ま、死神様のお使いだ。あながち間違っちゃいねーよ」
    「あー無理、笑いと鳥肌止まんない」
     自分の体を抱くようにしてわざとらしく震えてみせれば、ファングの笑いが深くなる。男の舌が這ったあとが、てら、と光って、また鳥肌が立ってしまった。
     見下ろすようにファングを見れば、ついているのは内太ももの鬱血痕と唾液くらいだ。あの男の精液がこの白い肌につく前にことが終わってよかった。表情には出していないつもりだったけど、見透かしたようにファングが言う。
    「太もも舐めて満足するようなドヘンタイでよかったぜ。楽な仕事だ」
    「楽でも仕事は仕事だよ、しゃんとして。ほら、服を着なよ」
     服は丁寧にたたまれて枕元でお行儀よくしていた。僕よりもファングのほうが近いのに、ファングはそれを手にしようとしない。僕は僕でそこまで面倒を見る気もないから、ほっといてターゲットの持ってきたカバンを開く。
     紙、紙、紙。よくもまぁこれだけ。それでもこんなのはほんの一部なんだろう。情欲を持った得体の知れない男にくれてやる程度には、偉そうな紙を持て余しているに違いない。
    「権利書やら借用書やら、よくもまぁこれだけ集めたもんだ。この枚数分がそのまま恨まれてる数だってのに」
    「そのせいで、自分の命がぺらっぺらの小切手に変わるなんて、思ってもいなかっただろうね。のんきなもんだよ、最後には明日の新聞に乗っておしまい。つくづく紙に縁のある人生だ」
    「自分の髪はもうなくなりかけてたのにな」
    「だから神にすがったのかも?」
     どうでもいいことを言って笑い合う。ようやくファングが起き上がって服を着だした。シャツの袖にする、と手が通される。
    「下から履きなよ。丸出しじゃないか」
    「下履いたらできねーだろうが」
    「サイテー。死体の横でする気?」
    「好きだろ?」
     うん、大好き。シャツだけ着せてするのも好き。でも、唾液は拭いてほしい。あのオッサンと間接キスみたいじゃないか。
    「今からやるのはいいけどさ、一度お風呂に入りなよ」
    「今すぐにでもやりたいくせに……潔癖だなァ」
     しょーがねぇな、と。大仰な仕草でファングが起き上がってみせる。その拍子に無造作に置かれていた聖書がとさ、と落ちた。
    「……ファング、聖書読むのうまかったね」
     淀みない、淡々とした声を思い出す。
    「なんだ、神様に嫉妬か?」
    「いや? まさかとは思うけど……神様、信じてるのかと思って」
     一瞬だけキョトンとしたあと、はじかれたようにファングが笑い出す。答えになんてなってない笑い声を引きずって、ファングが風呂場へ歩き出す。
     その背中に向けて、問いかけた。
    「ねぇファング、神様はいる?」
     くる、とこちらを向いたファングが笑う。
    「いらねー。コーラとゴムだけ用意しとけよ」
     そうして風呂場に消えたファングに、聞こえるわけのない音量で投げかける。
    「……スキン以下の神様ってなに」
     神様って信じてなかったけど、そんな役立たずの神様なら勝手に存在しててもいいや。せいぜい紙より薄い存在価値で、僕らのセックスを盛り上げてくれ。
     そんなことを考えながら、ベッドに腰掛ける。本部に連絡を入れながら、ファングがよだれを落とすのを待った。
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    85_yako_p

    DONEかなり捏造多めなタケ漣です。自分の知らない一面をなかなか信じたくないタケルの話。猫が死んでます。タケ漣とするか迷いましたが、タケ漣でしょう。(2024/10/12)
    野良猫の憂鬱 予感がした。それだけの単純であやふやな理由で俺はわざわざ上着を羽織って夜に踏み出した。目的地なんてあるはずもないのに、足は路地裏に向かっていた。
     歩けば歩くほど無意味に思える時間に「明日は朝から雨が降りそうだから、アイツを家に入れてやらないと」と理由をくっつければ、それはあっさりと馴染んでくれた。そうだ、俺はアイツを探しているんだ。訳のわからない予感なんかじゃなくて、でも愛とか同情でもなくて、この意味がわからない焦燥はアイツのためだ。
     明日が雨予報だってのは嘘じゃないけど、今夜は晴れていて月が綺麗だった。だからアイツがいたら一目でわかるはずだし、パッと探していなかったら今日は捕まらない。だから、と自分の中で線を引いてから路地裏を見ると、いつもチャンプが日向ぼっこをしているドラム缶の上にアイツがいた。片足をだらんと垂らして、片方の足はかかとをドラム缶のふちに乗せている。そうやって、何かを抱き抱えるように瞳を閉じている。
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