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    85_yako_p

    カプ入り乱れの雑多です。
    昔の話は解釈違いも記念にあげてます。
    作品全部に捏造があると思ってください。

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    85_yako_p

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    タケ漣ワンドロ9「きまぐれ」(2019/07/25)

    ##タケ漣ワンドロ
    ##タケ漣

    ハニー・スイートハニー「きまぐれだ」とアイツは言った。いつものことだと思ったが、いつもと様子が違っていた。
     不服そうな顔。少し染まった耳。手に下げた紙袋。ちぐはぐな要素を拾いきれずにいると、その違和感のひとつが差し出される。見慣れないロゴの入った、茶色い紙袋。
     戸惑いつつも受け取ると、早く開けてみろと金色の目が促す。律儀に止められたきれいな柄のテープを破ると、箱の底になにかがある。
     取り出したそれはガラス瓶だった。ラベルが貼ってない方を見てみると、それはアイツの瞳とおんなじ色をした液体で満たされている。
    「これって」
    「……ハチミツ」
     なんでハチミツを? 脈絡のない贈り物に困惑してしまう。きまぐれにもほどがあると、そう思った時にアイツは「きまぐれだからな」と前置きして、ぶっきらぼうに口を開いた。
    「……チビ、欲しがってただろ。恵んでやるよ」
     俺が? ハチミツを? 欲しがった? 心当たりを探ってみても思い当たる節はない。俺は特別ハチミツが好きではないし、料理だってしない。円城寺さんと勘違いしてないか? 口を開く前にアイツが言う。
    「……だから、シューカイジョってやつ、行くのやめろ」
     シューカイジョ。その言葉にこの一連のやりとりの原因が一気に吹き出してきた。

    『隼人さん、ハチミツ持ってないか?』
    『あるよ! 急ぎ?』
    『いや、次のクエストまでにあれば……』
    『じゃあ夜に集会所で渡すよ。九時くらいでいい?』
    『ああ、助かる。じゃあ、九時に集会所で』
    『うん。あ、みんなも誘う?』
    『いや、二人で大丈夫だ』
    『わかった。じゃあ、またあとで』

     きっと、あのやりとりだ。きっと聞いていたんだ。俺が、隼人さんにお願いしたハチミツ。
     ──あれ、ゲームのアイテムなんだけどな……。
     回復薬を作るのに必要なハチミツをちょうど切らしていたんだ。だから今日、オンラインの集会所で落ち合って少し分けて貰う約束をした。
     それを、買ってきてくれたんだ。こんな、見たこともない、瓶に入った高そうなハチミツ。
    「…シューカイジョ、行くのやめろ」
     繰り返しのセリフ。ふてくされた声色。
    「せっかくオレ様がくれてやったんだ。わざわざギター野郎にもらいに行くことねーだろ」
     集会所に行くなって、コイツが言う。希望的観測。それって、もしかして、
    「……俺が隼人さんと二人っきりで会うの、嫌なのか?」
    「はぁ!? 何言ってやがる! ジイシキカジョーにもほどがあるんじゃねーの!?」
     バァーカバァーカと騒ぎ立てられるが、さきほどよりも染まった耳を見つめながら思う。その言葉は否定の形を取っていない。
    「~~とにかく! オレ様がいるんだ! そんなとこ行ってねーでもてなしやがれ!」
     そう言って、アイツがどかりとベッドサイドに腰掛ける。他意はないんだろうけど、ぎしりとスプリングを軋ませた腰に少しドキリとしてしまう。それを覆い隠すようにぶわり、と愛おしさが湧き上がって、抱きしめたいな、って思った。
    「……何ケータイいじってやがる」
    「隼人さんに連絡しないといけねえだろ。今日、行けないって」
     自分から頼んだくせに、自分勝手でほとほと呆れる。それでも、そう言って端末にメッセージを打ち込みながらちらりと盗み見た顔はどこまでも上機嫌で、その隠しきれないにやけた顔に後押しされるように送信ボタンを押した。隼人さん、許してくれ。
    「これでよし……」
     スマホを枕元に放り投げて、コイツの横に腰掛ける。抱きしめたいって気持ちはもっともっとワガママになっていた。する、と首元に手を滑らせても、少しからだをビクリとさせたくらいで抵抗らしい抵抗はない。そのまま口づけて、腰を支えてゆっくりを押し倒すと、ぽすりとコイツがシーツの海に沈む。
    「……ありがとうな。ほんと、ほんと嬉しい」
    「たりめーだ。オレ様がくれてやったんだ。せーぜー感謝しやがれ」
     そう言ってコイツは笑いながら、俺の首に手を回して引き寄せてくる。近づいた唇を舐めれば誘うように伸びてきた舌に、自分のそれを絡めながら思う。
     明日、英雄さんにパンケーキの焼き方を教わろう。そんで、コイツの買ってきたハチミツをたっぷりかけて、コイツと一緒に食べるんだ。
     きっと、その時にするキスは、くらくらするほど甘いんだろう。
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    85_yako_p

    DONEかなり捏造多めなタケ漣です。自分の知らない一面をなかなか信じたくないタケルの話。猫が死んでます。タケ漣とするか迷いましたが、タケ漣でしょう。(2024/10/12)
    野良猫の憂鬱 予感がした。それだけの単純であやふやな理由で俺はわざわざ上着を羽織って夜に踏み出した。目的地なんてあるはずもないのに、足は路地裏に向かっていた。
     歩けば歩くほど無意味に思える時間に「明日は朝から雨が降りそうだから、アイツを家に入れてやらないと」と理由をくっつければ、それはあっさりと馴染んでくれた。そうだ、俺はアイツを探しているんだ。訳のわからない予感なんかじゃなくて、でも愛とか同情でもなくて、この意味がわからない焦燥はアイツのためだ。
     明日が雨予報だってのは嘘じゃないけど、今夜は晴れていて月が綺麗だった。だからアイツがいたら一目でわかるはずだし、パッと探していなかったら今日は捕まらない。だから、と自分の中で線を引いてから路地裏を見ると、いつもチャンプが日向ぼっこをしているドラム缶の上にアイツがいた。片足をだらんと垂らして、片方の足はかかとをドラム缶のふちに乗せている。そうやって、何かを抱き抱えるように瞳を閉じている。
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