お狐様と少年 神様というのは、意外と暇なものだ。人々の願いを叶えてあげたりもするが、殆どが自分自身で解決出来る事が多い。だからほんの少しだけ、いい方向になるようにと見守ってあげている。
今日も鳥居の上で横になり、見渡せる町を見守っていた。まばらだが、お参りに来てくれる参拝者に会えるとちょっと嬉しい。
「ふあぁ~~・・・。今日もいい天気だなぁ」
真っ白でふわふわした尾っぽをパタパタさせ、俺は日向ぼっこをしていた。暖かい日差しのせいか、うとうとしていた時だ。
「・・・ぐすっ、ひっく」
境内から、子供のすすり泣く声が聞こえた気がする。迷子だろうか?
「暇だし見に行くか」
俺は鳥居の上から声のする方角を見つめる。この神社の神様である俺の特技は、迷い子を見付ける事。茂みの中に隠れていようが関係ない。
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