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    こっこ

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    こっこ

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    五伏。ちょっとしたパラレルものです。

    五条→今回は名前だけ(すまぬ)恵が大好き♥️
    恵→稽古が嫌で稲荷神社に逃走。稽古よりも五条が好き💕両想いになるように頑張る男の子。
    悟(神様)→由緒代々続く稲荷神社の神様。猫又のめぐとラブラブ中♥️
    めぐ→子猫の頃、悟に拾われた。悟のおかげで立派な猫又になり、稲荷神社を守護している。好きな物は鰹節。

    お狐様と少年 神様というのは、意外と暇なものだ。人々の願いを叶えてあげたりもするが、殆どが自分自身で解決出来る事が多い。だからほんの少しだけ、いい方向になるようにと見守ってあげている。
    今日も鳥居の上で横になり、見渡せる町を見守っていた。まばらだが、お参りに来てくれる参拝者に会えるとちょっと嬉しい。
    「ふあぁ~~・・・。今日もいい天気だなぁ」
    真っ白でふわふわした尾っぽをパタパタさせ、俺は日向ぼっこをしていた。暖かい日差しのせいか、うとうとしていた時だ。
    「・・・ぐすっ、ひっく」
    境内から、子供のすすり泣く声が聞こえた気がする。迷子だろうか?
    「暇だし見に行くか」
    俺は鳥居の上から声のする方角を見つめる。この神社の神様である俺の特技は、迷い子を見付ける事。茂みの中に隠れていようが関係ない。
    「お、みっけー☆」
    小さな男の子を見付けた俺は、鳥居から下りると茂みの方へと歩いていく。ぐすぐす泣いている子供を驚かせないよう、慎重に近付いていこうとしたのだが・・・。
    「ひっぐっ・・・。五条さん?」
    「え!?お前、俺のこと見えんの?」
    「うん・・・」
    普通の人間には、自分の姿は見えないはず。稀に、霊感の強い人間ならうっすらと見えるらしい。だが、この子供は完璧に神様の姿が見えている様だ。
    「何もんだ、お前」
    「五条さんじゃない?でも、そっくり」
    「その五条だか何だか知らないけど、そっくりって言われるとムカつくな」
    「お耳としっぽが生えてる」
    「そりゃ、俺は稲荷の神様だもん☆」
    ・・・自分の正体をあっさり喋ってしまった。子供はキラキラした目で見てくるし、どうしたものか。
    「おい子供」
    「恵。俺の名前、伏黒恵」
    「ふぅん。恵は何で泣いてたんだ?」
    「それは・・・」
    恵という名の少年は、俺と似た奴と何かあったようだ。俺に凄く言いにくそうに、もじもじしているから言うまで待っていてあげる。流石神様!優しい俺♪
    「稽古が嫌で、逃げて来ちゃった」
    「稽古?習い事とか?」
    「ちょっと違う。けど、痛いの嫌で」
    今時、スパルタな先生もいたものだ。まだ小さな子供なのに、何だか可哀想になってきた。
    「先生、嫌いなの?」
    「ううん。好き、大好き。あ、これは内緒にして」
    「ははっ♪分かったよ」
    となると、稽古が本当に嫌いなのか。色々な習い事で願いを伝えてくる人間も多いが、恵の願いを叶えるとなれば苦労しそうだなと思った。
    「狐さんは神様なの?」
    「まあ、うん、そう。何々、願い事でもあるのかなぁ」
    孤高な神様だもん。恵の願い事があるなら、聞いてあげなければならない。でないと、罰則を食らってしまう。罰則といっても、おいなり取り上げされる位なんだけど。お腹が減るから地味に嫌なんだよね。
    「あの、五条さんと恋人同士になりたい・・・です」
    「お、おお。恵は五条さんとやらとお付き合いしたいと?」
    「年上で身長も大きくて、顔も綺麗で、目も水色で綺麗で」
    「外人さんなの?」
    「ううん、日本人。呪術師のお兄さん」
    「・・・は?呪術師!?」
    通りで自分の姿が完璧に見えている訳だ。稽古というのも、呪術師になる為のものだろうと予想が出来る。
    神様と呪術師は、相性が良い。お互いの領域に踏み込まなければ、協力し合えるし共存する事もへっちゃらだ。悪さをしなければ、祓われる事もない。
    「ん?お兄さん・・・」
    「そう、俺の呪術の師匠」
    「ま、マジ?」
    「神様でも最近の言葉を使うんだ」
    「長く生きてるからね。でも、そっかぁ」
    難題だ!難題過ぎるだろ!!仮に願いを叶えてしまう事になれば、大きくなってから後悔するのでは・・・。恵の気持ちも尊重してあげたいし、どうしたものか。
    「一応聞くけど。恵は男でも平気なの?」
    「関係ない。俺が初めて好きになった人。だから、諦めたくない」
    真っ直ぐ見上げてくる恵の瞳は、曇りなく芯が通ったものだった。嘘偽りなく、願いを成就してあげたいという気持ちが増してしまう。
    恋愛成就は得意分野ではないのだが、神様なら出来るとやる気が涌いてくる。
    「ここで会ったのも、何かの縁だろう。いいよ、恵の願い叶えてあげる」
    「本当に?いいの?」
    「恵だけ特別だよ♪」
    そう言って、恵の頭をポンポンと軽く撫でてあげた。願いを叶えるには、もう一度恵の気持ちを口に出してもらわなければならない。
    「さあ、好きな人を思い浮かべて。両目を閉じて、声に出してお願いして」
    恵は素直に俺に従って、両目を閉じて『両想いになれますように』と、小さな声で祈願した。
    儀式的なものだけれど、願いが叶うのは本人次第。どうなりたいか、どうしたいか、という本人の想いが大切なのだ。
    「・・・終わったよ」
    「ふう。狐さん、有難うございました」
    「恵の気持ち、伝わるといいね」
    にっこり笑って抱き上げてあけると、恵もふにゃりと笑い返してくれた。ああ、いつの時代も子供は可愛いな。
    「めぐー?恵ぃ、どこだ~?」
    「五条さんの声!」
    「おや、早速願いが叶いそうな予感」
    「探しに来てくれたんだ」
    腕の中にいる恵は、とても嬉しそうだ。俺は地面に下ろしてあげて、背中をぽんっと軽く押して前に行かせてあげる。
    「恵、頑張ってね」
    「はい!有難う神様、俺絶対に恋人同士になるね」
    パタパタ走っていく恵を見送り、ほっこりした気持ちで境内に戻る。五条とやらの顔は見れなかったが、恵から抱き付いている後ろ姿だけは確認出来た。




    「遅いですよ、悟様」
    「ごめん、ごめん。ちょっと迷い子に道を示していたからさ」
    「はあ。来いっていうから早めに来たのに。神様が不在でどうするんです」
    境内のど真ん中に、黒猫が一匹。二つに分かれた尾っぽで、地面をベシベシと叩いている。不機嫌の証拠。
    「へえ。一応、神様業をしているんですね」
    「にゃんだとぉ~!この、この♪」
    「ヒギャンッ!?駄目、お腹をくすぐっちゃ・・・」
    ボンッ!!という音と共に、黒髪に黒い瞳の男の子が現れた。俺のように着物ではなく、現代人が着ている服を着ていて、お尻の方からしっぽが生えている。
    「何するんですか!猫又の姿になるの大変なのに」
    「俺としては、人型の姿の方が抱けるし好きなんだけどなぁ♪」
    「・・・変態狐」
    「あれれ?神様に暴言吐いてもいいのかなぁ~?」
    「っ!?動けない!!」
    猫又の彼は、俺の神社に捨てられていた子猫の頃から世話をしてやっている。俺の加護を受けて、今や立派な猫又になり行動を共にしているのだ。
    「ず、ずるいです。神力を使うなんて」
    「だってさぁ。めぐ逃げちゃうんだもん♪」
    『めぐ』と名付けた彼は、猫だからすばしっこい。狐の俺でも、捕まえるのに苦労する。恥ずかしがり屋なのか、抱き締めるだけでも逃げようとするから神力を使ってしまう。
    「はぁい、捕まえた」
    「うう・・・」
    「こらこら。毛を逆撫でないでよ」
    「すみません。昔からの癖で」
    めぐを抱きしめれば、尾っぽがビリビリと逆立っている。感度が良いのか、お尻の方を撫でてやると、びくびくと体が反応して面白い。上から下へと、小ぶりなお尻を撫でる手が止められない。何だったら、俺の息子がどんどん元気になっていく。
    「や、ん、んんっ・・・」
    「お仕置き、しなきゃだね♥️」
    「い、嫌だーーーーーッッ!!!!」



    ー続く・・・?ー

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    こっこ

    DONE五伏。ちょっとしたパラレルものです。

    五条→今回は名前だけ(すまぬ)恵が大好き♥️
    恵→稽古が嫌で稲荷神社に逃走。稽古よりも五条が好き💕両想いになるように頑張る男の子。
    悟(神様)→由緒代々続く稲荷神社の神様。猫又のめぐとラブラブ中♥️
    めぐ→子猫の頃、悟に拾われた。悟のおかげで立派な猫又になり、稲荷神社を守護している。好きな物は鰹節。
    お狐様と少年 神様というのは、意外と暇なものだ。人々の願いを叶えてあげたりもするが、殆どが自分自身で解決出来る事が多い。だからほんの少しだけ、いい方向になるようにと見守ってあげている。
    今日も鳥居の上で横になり、見渡せる町を見守っていた。まばらだが、お参りに来てくれる参拝者に会えるとちょっと嬉しい。
    「ふあぁ~~・・・。今日もいい天気だなぁ」
    真っ白でふわふわした尾っぽをパタパタさせ、俺は日向ぼっこをしていた。暖かい日差しのせいか、うとうとしていた時だ。
    「・・・ぐすっ、ひっく」
    境内から、子供のすすり泣く声が聞こえた気がする。迷子だろうか?
    「暇だし見に行くか」
    俺は鳥居の上から声のする方角を見つめる。この神社の神様である俺の特技は、迷い子を見付ける事。茂みの中に隠れていようが関係ない。
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