アダカアダカは知っていた。覚者となった人間に1番最初に訪れる脅威を。それはかつて自分と主を脅かしていたものだった。
その為、覚者を保護しようとする教会よりも早くユークと出会い、領都兵に殺されかけていたところを救ったのだ。
アダカにとってそれで終わりのはずだった。ポーンである事を明かさず、ユークの安全が確保されれば立ち去ろうとしていた。自分の旅はとっくに終わり、新たな覚者の旅に自分は必要ないと思ったからである。
だが、ユークの強い要望と主の子供たちであるホリーやキリアンとの出会い。また彼自身も後ろ髪を引かれる思いがあり、留まる事を決意する。こうして再びアダカの新しい覚者との旅が始まったのである。それは次第に、砕かれた心の再生の旅になってゆく。