全ての魂を安息させ、船を漕ぐ事となったその後のセト様2022年ーーセトは今も太陽の船を漕いでいた。神界用スマートホンでネフティフの画像をネットで検索するのが趣味だ。ある時、プツリとスマホの充電が切れた。船の上で充電する方法は皆無。今日もあの男を待つしかない。好きだと毎日告白してくるあの男を。
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「貸せよ!」
「貸すと言ってるでしょう?15分の充電につき一回のキスで」
ほら、とアゴを上げて唇を突き出してくるホルスの頬を殴ってやりたい衝動を抑え、セトの体がぶるぶるとわななく。これもネフティフ画像を検索するためだとガクリと肩を落とし、背中を丸めた。
「…わかった」
セトの両手が肩に触れ、ホルスは歓喜する。ソ…とさえずる小鳥のような口づけが贈られた。
「これだけですか?」
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