遺書屋、反省する首を絞める鈍い音と呼吸が止まる静かな音がする。
いつものように遺書を書かせ、いつものように祈りを捧げ、いつものように殺す。
二人にとっては当たり前の日常が今日も繰り広げられていた。
「……よし、後の処理はアイツに任せるとして、次は遺書だな」
「ええ、宛先は組のオジキ、って言ってたわよね」
うんうんと走り書きの遺書を大事そうに抱えて、紗来と奈落は死体から目と体を離した。
事前に調べていたターゲット、ヤクザの事務所に向かおうとする。
オジキ、とやらの顔は分からないがとりあえず行ってみようとのことだ。
二人で他愛もない話をしながら、まるで一般人のように街を歩く。
血の匂いをすっかり落とした二人は、側から見たらただのうら若き青年なのであった。
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