尾長ここ最近日がのぼると庭にオナガが二羽やってきて、仲睦まじく餌のやりとりをしているらしい。
「……そうか」
開け放たれた障子戸から、真昼のひざしが短くおちて畳を四角く焼いている。
「あぁ、いつもいつも先に忙しいのが一匹来て、我を見つけては“ぎゃぁぎゃぁ”それはもう、うるさく鳴きやる」
湯呑みが二つ、包みが広げられた桐の菓子箱が一つ。
「……ならば明日にでも小姓に追わせよう。三日も続ければ、いくら鳥頭だろうと思い知る」
先日京へ向かった際に買った手土産なのだが、なんでも店の弟子が作る菓子の方が味もいいらしく、「ぬしが店の名で買わずに味で買って来れるようになってくれればな…」と言われ今にいたる。
今回のこれは、おそらく食の細い自分のために、こう言えば菓子を食うだろうと考えての事だ。
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