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    アルフィノとアリゼー 漆黒

     最悪のタイミングで第一世界に辿り着いたアリゼーが、水晶公に対して大いに文句を述べたのは記憶に新しい事だ。アルフィノが漸く妹に再会出来たのも時を同じくして、これはまた散々心配しただとか、凄く心配しただとか、説教混じりに捲し立てられていた。
     アリゼーは、何というか根に持つタイプだ。聡い彼女は特にアルフィノに対して敏感で、肉親という糸で繋がれているからこそ、欠けることなどあってはならない存在だ。そんな想いの裏返しで感情的になったアリゼーを、粛々と受け止めるアルフィノは彼女曰く「変なところで鈍感」らしい。
    「ねぇアルフィノ」「なんだい」
    「寂しかった」「言い難いけどそんな事思う暇も……」
     彼が真剣に目を伏せるものだから、アリゼーは羞恥と呆れでいても立っても居られなくなって、思わず声を張った。
    「私が寂しかったって言ってるの!」
     は、と我に帰れば目の前の兄は目を丸くして、その次はふにゃりと細めて、身長なんて然程変わらないアリゼーの頭に手を伸ばした。「悪かったね」とやわらかい謝罪と、頭上を行き来する掌に、何故だか更に寂しくなった。
    「子ども扱いしないで、今だけよ」
     きゅ、とアルフィノの肩を掴んで俯くアリゼーに、彼は背中を摩って応えた。
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