紛い物の楽園ソファに腰掛けてダラダラと雑誌を読む大男。アダムは雑誌を広げたまま胸元に下ろすとボソリと口を開いた
「花が見たい」
唐突すぎるその言葉は、地獄の王をぽかんと間抜け面にさせた。なぜなら普段アダムはそんなことを言うような男では無いからだ。東方にある諺の花より団子、まさにそれ。植物を愛でるよりも食への執着が強い。まぁそれも生前満足に食べることの出来ない環境で暮らしていたからだろうが、それでも風情というのは殆ど感じられない男である。
「今花が見たいと言ったのか?」
「そうだが」
「お、お前が??」
「なんっだよ悪いか!?」
ルシファーの反応にイラつきアダムが声を張り上げる。まるでお前が花に興味があるのかとでもいうようなルシファーの反応が心外であったのだ
3982