Lick Lap Suck ドラルクは血を飲むなら、うなじの綺麗な美少女がいいと言っている。
初めてへんなと出会ったときにエッチな本を見せた。その中でドラルクはうなじの本を出していたが、そもそもドラルクはうなじに性的興奮を感じているのだろうか。
俺たちが色々あってエッチ談議をしている時も、ドラルクは積極的に話題に乗ることはない。大体傍観しているか、冷静にツッコミをしていることが多い。
ドラルクのうなじに対する興味はどちらかと言うと食欲だろう。
吸血鬼もののAVに吸血シーンがよくあると聞いた。食欲と性欲がイコールで結ばれることが多いのだろう。
食欲イコール性欲の気持ちは俺も少し理解できる。ドラルクを見ているとたまに美味しそうだと思うことがあるからだ。口に溜まった唾をごくりと飲み込み、喉を鳴らしてしまったこともある。
細くしなやかな指、赤いネイルの乗った爪、くっきりした鎖骨、あばらの浮いた脇腹、細い腰、どれもいつの間にか性的魅力を感じるようになった。
ドラルクと出会う前はおっぱいが好きな健全な性癖をしていたんだ俺は!
ドラルクのあちこちに俺は反応しているというのに、俺が知っているドラルクの性癖っぽいものはうなじのみだ。
ドラルクは元々性欲が薄いと思う。付き合ってエッチするまで、ドラルクに性欲があるのか疑ったことがある。
すぐ死ぬというのも性欲が薄い原因の一つだろう。
何もかもが雑魚なドラルクは体力も雑魚だ。まだエッチができるようになってすぐのこと、突っ込む前に一回イっただけで「疲れた」と言って死んでいた。
死ねばリセットされるので、体力も回復するのだが、初めてそれを見た時は一回イっただけで死ぬのかと驚いたものだ。
まだ片想いだったころ、俺がドラルクを思い出して自慰をした時は三回くらい余裕だったけどな。
エッチの途中で死にまくるものだから、最近は公園の砂山を見ただけで、反応しそうに…。いや、これはまだ大丈夫。まだ反応してない。しそうってだけだ。
ちなみに洗濯板はアウトだった。
先程からなんで俺がうなじやら性癖やらのことを考えているかというと、目の前に無防備なうなじがあるからだ。
ソファに座り、ぴこぴことqsqでゲームをやっているのは俺の性癖を狂わした相手、ドラルクだ。
風呂上がりなのでネグリジェ姿だ。なので、ゲームをするためうつむいていると、うなじがあらわになるのだ。
なんで普段はめちゃくちゃガード高い服着てんのに、寝るときはそんな防御力低そうな服着るんだよ!
ああでも普段の服も好きだ。肌を露出がないからか、手袋と袖の間、手首の肌がちらちらと覗くのが凄くイイ。ドラルクのせいで新しい扉がいくつも開いていく。
いや、違うネグリジェの話だ。ネグリジェ。
だってネグリジェだぞ?ひらひらした布1枚だ。裾をちょっとめくったらパンツだけだし、色々見えてしまう。胸だって丸見えだ。豊満でもなんでもなく、むしろ正反対なのに、ドラルクの胸はいつも俺の視線を釘付けにしてしまう。舐めしゃぶるとひんひん啼いてめちゃくちゃ可愛い。
ではなく、うなじだ。うなじ。そう、うなじだ。ドラルクの性癖であろう、うなじだ。
ここに触れたらどうなるのだろう。
己の性癖に触れられるってどうなのだろう。
例えば俺の場合、指や腰に触れられると、ドラルクに触られているという部分に興奮するのであって、その部分に触れられているから興奮するというわけではない。
ドラルクはどうなのだろうか?
好奇心が抑えられず、顔を寄せた。
骨ばったうなじにキスをする。ひんやりとした感触が唇から伝わってくる。
「うおっ、な、なに!?」
驚いたドラルクがqsqをゴトリと落とし、振り向いてこちらを見ようとするが、動けないようあごを掴んで固定する。
ドラルクの耳の端が少し砂になっているが、完璧に死ぬことはなかったので助かった。そのまま続行する。
「ロナルド君なに?5歳児は構って欲しいんでちゅかー?」
ドラルクが俺をからかってくる時は単純に俺で遊びたい時と、焦った姿を誤魔化すため、との二種類がある。今回は後者だ。
「うるへぇ」
「あっ!」
うなじに唇を当てたまましゃべると、ドラルクの肩がびくりと跳ね、高い声を出した。
「ちょっ、ロナルドく、んっ」
殺さない程度に軽く歯を立て、やわやわと甘噛みをする。歯に当たる骨の感触がこりこりしていて少し面白い。手羽先食ってるみたいだ。
吸血する時ってこんな感じなんだろうけど、やってみて思うが、うなじって噛みにくくないか?
あごを固定している手に、ドラルクが手をかけ引き剥がそうとするが、勿論一ミリも動かない。あまりにもクソ雑魚すぎるので、哀れに思った俺は指の腹でドラルクのあごを撫でて慰めてやった。
「んっ…!」
ひんやりと青白かった肌が熱を持ち、赤く染まっていく。
俺はドラルクが赤を身にまとうのが好きだ。吸血鬼全体が赤を好みやすいのは知っているけど、ドラルクの中での赤色って血の色か、俺の色かになっている気がする。
前に赤いネイルを見せられた時がある。
「これなんだと思う?」
「あ?何って、いつものネイルだろ?」
じゃんっと差し出された爪には赤い色のネイル。見慣れた光景だ。
「これだから違いの分からん男は!」
「殺した」
「ブェー!すぐに殺すな!野生児!」
拳の風圧で死んだドラルクは先に手だけ復活させ、ひらひらと手を振り、またもや爪を見せてきた。
「これねぇ、君の色だよ」
「俺の色…?」
「そう、似てるでしょ。君の退治人服の色に」
「えっ、うへぇ、え、は?」
動揺する俺にドラルクはにんまりと笑った。
「フフ、君色に染まっちゃったネ」
「ウビャッハー!」
「ヒョーホホホ!流石の反応だ!だてに長いこと童貞やってないな!」
「お前で卒業したわ!こんちくしょー!」
その後はバタバタといつも通りのノリで煽り煽られ、殺し殺されして話は終わった。
ドラルクが時々そのネイルをつけてはこっそり爪にキスしていると、偉大なるマジロ先輩から聞き俺はあまりの衝撃に思わず拝んでしまったのは余談だ。マジロ先輩には有名店のドーナツ五個入りを献上した。
もっと赤くなる姿が見たい。俺の色に染まって欲しい。
「ひゃっあ!」
舌を出してべろりとうなじを舐めあげる。
「死ぬなよ…」
砂になって逃げられたら困ると思い、耳元で呟く。ドラルクは俺のお願いに結構弱いところがあるから、これで死なないように頑張ってくれると思う。たぶん。
唇で触れた時より冷たさがなくなり、ぬるくなった気がする。
甘いわけがないのに、甘さを感じる肌を丁寧に舐め、俺の唾液で光ったところをじゅっと吸い上げた。キレイにしたら、死なないギリギリのラインで今度は強めに吸う。
うなじに咲いたキスマークに満足し、一つじゃ寂しかろうと何度も吸い付いた。
「あ、あっ、なに、やめ、ンッッ!」
このキスマークもドラルクが死ねばすぐになくなってしまう。ドラルクの記憶に刻むように、一つ一つ舌先でくすぐっていく。
「いやだぁ、ろなるど、くん、ひっ」
髪の生え際を舌でなぞり、首に浮き出た骨も上から下まで舐めていく。骨を舐めるだなんてなんだか犬になった気分だが、悪くはない。ドラルクの肌だったらどこでも舐められるし、むしろご褒美だ。
ぴちゃりとした水音と、ドラルクの甘い声が混ざって頭がクラクラとしてした。ハァハァと荒い息を吐き、再びうなじに噛みつこうと口を大きく開いた。
「やめろ!」
ドラルクの鋭い声にピタリと動きをとめる。
「やばっ」
ハッとしてうなじに埋めていた顔を上げた。無理矢理はよくない。調子に乗りすぎてしまった。悪い、ぶっ飛んでたと謝ろうとして、うなじ以外を、見てしまった。
肌を真っ赤に染め、ふるふると震える身体。濡れた声がかぼそく漏れ出ていた。潤んだ瞳が俺を睨み付けている。
「あー、なるほどな」
新たな扉が開く音がした。