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    mitulove_uno

    @mitulove_uno

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    mitulove_uno

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    ワンバケの展示小説です。
    現パロで、どーなつ組の担任保育士ウルフウッド先生です。
    牧台です。今回出てきませんが続けば葬台もいます。

    どーなつぐみのうるふうっどせんせい「せんせぃ、一緒にやろ」
     先生と呼ばれたウルフウッドの足元では、ヒヨコみたいなふわふわの金色の髪が踊っている。積み木やブロックを持ち、くりっとした大きな瞳でウルフウッドを見つめているのは4歳児クラスであるどーなつ組に在籍しているヴァッシュくんだ。
     他の子は帰ってしまい、今はヴァッシュくん一人がお迎え待ちである。
    「おん、ええで。何つくるん?」
     ウルフウッドはヴァッシュくんに視線を合わせる為にしゃがみ込み、頭を撫でながらにかりと笑った。
     ウルフウッドがあぐらをかくと、ヴァッシュくんがその上に座って積み木を色ごとに分け始めた。大人が座れば子どもは必ず椅子にするものである。
    「バイク作りたいんだ」
    「バイク?好きやったっけ?」
     ウルフウッドの記憶によれば、小さな口からバイクの話題が出たことは今までなかった。クラス担任として受け持っている子どもの好きな遊びやものは大体把握しているつもりだ。
    「ヴァッシュお兄ちゃんが好きなんだ」
    「ヴァッシュお兄ちゃんって今日からヴァッシュくんのお迎えに来る人やったな」
     今朝ヴァッシュくんと一緒に登園してきた、保護者が大きな荷物を持ってこれから海外に行かなくてはならないので暫くは送り迎えが親戚になると告げられた。
     ヴァッシュくんの保護者は今にも死んでしまいそうな顔色をしていた。ヴァッシュくんは両親ともに既におらず、年の離れた実兄がヴァッシュくんの保護者となり面倒をみているという。ヴァッシュくんの保護者はナイヴズといい、小さな弟であるヴァッシュくんをそれはそれは溺愛している立派なブラコンである。
     保育園でも離れる時は大変だった。確かに小さな弟を一人残していくのは心配だろうが、保育園の前です泣くのはやめて欲しかった。
    ナイヴズのブラコンっぷりは保護者参加の保育園行事で他の保護者にも知れ渡るほど有名だった。なまじ顔がイイので子どもと登園してきた保護者に「あら、今日もお兄さんは元気ね〜」なんて微笑ましそうに見られていた。
     最終的には「毎日連絡するからナイはお仕事行ってきて」とヴァッシュくんに頭を撫でられ、あやされながら仕事に行っていた。
     その時につげられた親戚の名前はなんとヴァッシュとというそうだ。
     ヴァッシュくんをヴァッシュが迎えに来ると聞いた時は思わず「その名前でおうてます?」とナイヴズに聞き返してしまった。まあ同姓同名なんてものは世の中に沢山いるし、これ以上は他所様の家庭の事情になってしまうので気にしないことにした。
    「クオリティ高ない?」
     今朝の出来事を思い出していた間にヴァッシュくんは積み木とブロックを組み合わせてバイクをどんどん作っていた。細かい部分まで造り込まれていて今にも動き出しそうだ。とても4歳児の作ったものとは思えない。ヴァッシュくんはとても器用だった。
    「これ、ヴァッシュ兄ちゃんのバイクなん?」
    「ちがうよ。お兄ちゃんバイク好きなんだけど乗れないの。運転へたなんだって。これはナイブズお兄ちゃんのバイク」
    「おおっと、また同じ名前が出てきよった」
     若干音が違う気がするが今度は保護者と同じ名である。ヴァッシュくんは兄をナイと呼んでいるので別人だろう。
     しばらくそうして遊んでいるとピンポーンと音がなった。インターフォンを確認するとヴァッシュくんに似た顔が立っていた。ヴァッシュくんのお迎えに来たと告げる相手にボタンを押して玄関の鍵を開けた。
    「遅くなってすみません!ヴァッシュくんのお迎えに来ました」
    「お兄ちゃん!」
     たたっと軽い足音をたてて現れた人物を見たときにウルフウッドに衝撃が走った。インターフォン越しではただヴァッシュくんと似ているかと軽く思っただけだったのだが。
    (べっぴんさんやん!)
     ほにゃりと人のよさそうな笑みをみせた後、くりっとした瞳にウルフウッドを映していた。
     はっきり言おうめちゃくちゃ好みだった。
    「ヴァッシュくんのお迎えですね?」
     既にヴァッシュに抱きついているヴァッシュくんを見ながら平常心を装い話し掛ける。
    「そうなんですよ。しばらく僕が送り迎えするんで宜しくお願いします。ああ、これナイヴズから渡しといてくれって言われた書類です」
    「預かります」
     渡された紙には送迎登録と書かれていた。子どもの送迎をする人の写真と情報が乗っている書類だ。防犯の関係上送迎者登録に載っていない人には子どもを引き渡すことはできない。
    「ヴァッシュくん兄ちゃんの好きなものだからってバイク作ってたんですよ」
    「え、おちび僕のために作ってくれたの?嬉しい〜!」
    「へへ」
     ぐりぐりとヴァッシュくんを撫でる様子には優しさを感じる。子ども好きなんかなと好感度がぐんぐん上がっていく。
    「じゃあまた明日宜しくお願いします」
    「ばいばい」
    「お疲れ様です〜。バイバイ」
     手を振って帰っていく二人に同じように手を振り返す。姿が見えなくなってから閉園の作業をしようと、もらった書類を棚に閉まってから片付けを始めた。

     窓の鍵が閉まっていることを確認してからカーテンを閉める。窓が閉まっていてもうっかり鍵が空いていることがあるので、たとえ何百回とやった作業だとしてもチェックリストを確認しながら保育園の締め作業を行う。慣れている作業こそ見落としやすい。家の鍵閉めたっけ?となるのと同じ現象だ。
     最後まで確認を終え、同じく閉園の作業をしていた同僚が「お先に失礼します〜」とタイムカードを押すのに返事を返してからウルフウッドも帰りの支度をする。
     更衣室から出て明かりを消す前に先程ファイリングした送迎者登録の紙を書類の棚から出した。
     これは決してやましい気持ちなんてなく、純粋に子どもに関して知っておかなければならないから確認するのであり。なんて誰も聞いていない言い訳を心の中で呟きながら書類を眺めた。
    「ワイより年上なんか」
     まさか自分より年上とは思わなかった。別にとても若く見えた訳では無いが、確実に自分よりは歳下で、20代前半かな〜と思っていた。緊急連絡先の番号をぼうっと眺める。
    「ストーカーやん」
     自分の行為に気持ち悪いとは思いながらも、欲望に負け個人情報を記憶してしまった。
     書類に乗っている写真には先程見た顔がにっこりと笑顔でピースサインをしていた。

    ◇◇◇

    「おちび〜!ご飯だよ」
    「はーい」
     テレビから流れる、優しそうなお兄さんとお姉さんが歌う唄に合わせて踊っていたヴァッシュくんがヴァッシュの声に気づいて返事をする。
     歌の最後に決めポーズをしてからヴァッシュくんがテレビを消して椅子に座ったことを確認したヴァッシュは、目の前にオムライスが乗ったお皿を置く。
     挨拶をして食べようとしたヴァッシュくんの行動を片手で制止し、ケチャップを掲げてみせた。
    「見てろよ〜」
     慎重にケチャップを絞っていき、オムライスに絵を描いていく。ヴァッシュには絵心はないので、難しいものや可愛いものは描けないが、子どもでも描けるようなものはできる。 
    「お星さまだ!」
     ヴァッシュがオムライスに描いたものは星だ。星の歌は子どもが覚えやすく、ヴァッシュくんもよく歌っている。星のようにキラキラと瞳を輝かせてオムライスを見つめるヴァッシュくんの姿にヴァッシュも嬉しくなる。
    「いただきます!」
     再び食事の挨拶をしたヴァッシュくんは躊躇いもなく、スプーンを豪快に星の真ん中に突き立てた。
    「う〜ん、情緒〜」
     喜んだ次の瞬間には星などなかったかのようにぐちゃぐちゃに崩してしまっている。子どもってよくわからないとヴァッシュは笑ってしまった。
     ヴァッシュくんは優しそうなでぽやぽやとした空気を醸し出す見た目大人しそうな子だが、案外豪快な性格をしている。ひよこの形をしたまんじゅうだって頭から食べる派だ。
    「ねぇおちび。さっきの先生さ、名前なんて言うの?」
     ヴァッシュもオムライスを食べながら話し掛ける。ヴァッシュくんをお迎えに行ったときに会った先生。見た目はヤのつく訳ありの人かと思ったが、笑うとぐっと雰囲気が優しくなった。声もめちゃくちゃイイ。
    「うるふうっど先生だよ」
    「担任?」
    「うん」
    「じゃあまた会えるかな」
     ウルフウッド先生、ウルフウッド。と名前を何回か口の中で転がして記憶する。一目惚れって初めてだな〜とのんきに思いながらヴァッシュくんの口の端についたケチャップを指で拭い取った。

    ーーーーー
    設定
    ウルフウッド先生
    ノーマンズ保育園の保育士。現在ドーナツ組の担任。孤児院出身でみんなのお兄ちゃんをやっていたので、子どもの相手はお手の物。特に体力が有り余ってる男の子に大人気。ウルフウッド先生登りが定期的に開催される。ニコラスくんとは血の繋がりなんてないのに何故か他人の気がしない。ヴァッシュくんを迎えに来たヴァッシュに一目惚れした。

    ヴァッシュ
    ナイヴズに頼まれてヴァッシュくんを預かることとなった。同じ名前なのでヴァッシュくんのことはおチビと呼んでいる。手がかからないヴァッシュくんにもっとわがまま言っていいんだぞ〜と思ってるし言った。
    バイクは好きだが、運転はド下手くそなので自分では乗れない。
    ヴァッシュくんを迎えに行ったらむちゃくちゃ好みの先生がいた。
    双子の兄がいる。

    ヴァッシュくん
    ノーマンズ保育園に通っている。4歳児クラスのドーナツ組さん。優しく穏やかな性格でぽやぽやっとしてるので男女問わず人気者。気づいたらみんな保護者になっている。意外としっかりしており、一人でも生きていけるタイプ。同じクラスのニコラスくんととっても仲良し。

    ナイヴズ
    ヴァッシュくんの保護者。年の離れた実のお兄ちゃん。ヴァッシュくんが物心がつく前に両親が亡くなった為、親戚に助けてもらいながらヴァッシュくんを育てている。たった一人の弟を溺愛している。この度仕事の都合で海外にしばらく行かなくてはならず、本気で仕事を辞めてやろうと退職届まで書いたところヴァッシュくんに止められ、親戚のヴァッシュに預けることとなった。

    ニコラスくん
    ノーマンズ保育園に通っている。ヴァッシュくんと同じクラス。ウルフウッド先生とは血縁関係ではないのに、他人の気がしなくてつい兄ちゃんと呼んでしまう。ヴァッシュくんのことが好き。

    ナイブズ
    ヴァッシュの双子の兄。何かとトラブルに巻き込まれがちな弟を心配している。社会的地位があるので、何かあったときは裏でこっそり処理している。社会的に潰してるだけで犯罪はしてない。おそらく。
    弟と育ての親であるレム以外はどうでもいいが、ヴァッシュくんはヴァッシュに似ているので可愛がっている。
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