口調の参考等にもなりますね「柊くん。」
どうやら寝てはいなかったようだ。驚いたのか、一瞬ビクッと肩を揺らしてから机に突っ伏していた顔をのそのそと上げ、顔だけこちらに向けた。
「な、なんすか。」
「おはよう、早いね。いつもこんな早いの?」
「まあ。」
素っ気ない返事だけが帰ってくる。今まで話してこなかったからか、少しだけ警戒の色が見えた。なるべく砕けた話し方を心がけて、僕は要件を話始める。
「そろそろプールの授業あるよね。柊くんは参加するの?」
「しない、ダルいし。」
「そっか、僕も入れないからさ。」
少し考え込んでからふーんと鼻を鳴らして目を逸らした。大きな欠伸が見える。噂とは違い、思いのほか雰囲気は柔らかくて話しやすい。髪色からどんな尖った輩かと思っていたが、中身は僕らとそう変わりないのかもしれない。…………でもプールはサボりなんだな。やっぱ不良じゃん。
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