Kaleidoscope濡れて、見つめて、それから「うわぁ! 綺麗だねぇ!」
桑名江に誘われて畑を見てみれば、青々とした胡瓜が畑一面に実を付けていた。厳しい陽射しを一身に受けてキラキラと輝く様は、とても美しい。
「新しくした肥料が合ってたみたいだねぇ」
隣でしゃがむ桑名は、自身が丹精込めて育てたそれに指先でそっと触れながら言う。前髪と帽子で隠れているはずの彼の目は、きっとこの野菜たちと同じように爛々としているのだろう。
「主に一番に見せたくてね」
こちらを向いてにこりと笑う彼は本当に嬉しそうで、桑名のこういう顔を見るのが私は大好きだった。そして見る度に『ああ、好きだなぁ』と思ってしまう。
「ふふっ、桑名お世話頑張ってたもんね」
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