恋心まであと五年「これを飲めと?」
「ああ。飲んでくれるだろう? 君はそのために来たんだから」
情報を抜き出すために近づいたターゲットに渡された怪しげな薬。ターゲットを油断させるため、その場で飲まないわけにはいかなかった。
異変はすぐに訪れた。体が熱くなったりうずいたりすることを覚悟していたバーボンの予想は見事に外れ、襲った異状は視界の暗転だった。意識が遠くなったのかと一瞬思ったがそうではなく、文字どおり視界を奪われていたのだ。
「目が見えていると逃げられやすくて面倒なんでね。心配はない、数十分で元どおり見えるようになる。私の相手をしてくれる間、見えないだけだ」
男の下卑た声と同時に体を思い切り押され、ベッドの上に突き倒される。
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