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    mnmna_tukn

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    慶応甲府期間ふせったー壁打ちより
    一文字則宗と日光一文字(広義のにこ則)サルベージ
    強めの幻覚強め。ものすごい夢いっぱいな氏(現役家長)と雛鳥兄貴の妄想。

    「おや。福岡の出の若いのか」
    「あなた、は……お頭」
    「坊主、その呼び名はもっと後に取っておくといい。お前さんが呼ぶに相応しいやつがいるだろう」
    「しかし、一文字一家の長はあなたです」
    「こりゃとんだ堅物だな! よし坊主、僕と少し話をしようじゃないか」
    「……あなたが、俺と?」
    「そうだ。納得せずとも長の言葉には律儀に応じるお前さんとだ」
    「何でしょう」
    「こっちに来い。内緒の話だからな。……僕はそろそろ隠居を考えている。誰にも言うなよ?」
    「は……、そんなことが、可能なのですか。一文字は祖たるあなたがいなくては」
    「そうは言ってもなあ。僕ももう若くはない。若いのが増えれば我が家の風潮も変わってくる。僕でなくても、いや、僕でない方がいいこともあるだろう。それどころか一家の形にこだわる必要すらないかもしれない。いっそ解体してしまうのも手だ。そこでだ坊主」
    「……はい」
    「今いる中で最も次の長に値するのは誰だと思う。初代としては後継を選ぶにしろ選ばないにしろ、責任を持って決めなくちゃならない」
    「本当に俺で良いのですか」
    「お前さんの意見が聞きたい」
    「御意」
    「いい返事だ」
    「それでは、僭越ながら。山鳥毛その人しか、あり得ないかと」
    「ほう、理由を述べよ」
    「一文字の名はすでに確立されています。たしかに、あなたが一家を解体しようと、兄分たちの誰かが家を離れ独立しようと、何の心配も要りません。ですが彼だけは必ず巣に残ります。あなたが興したこの地脈を守ります。山鳥毛がいる限り福岡の地から一文字一家は失われません。ならば、彼以上に一家の長に相応しいものはいない」
    「……うはははは! 頭が堅い上に目もいいときたか! お前さんの言う通りだ。うちの頼れる若人の中には、僕の建てた家から飛び出していきたい野心を持った者もいる」
    「そしてあなたはそれを評価しておられる」
    「そうやって広がっていくものよ。生き様や姿が転変していく様が美しい。坊主、なかなかの答えだ。正解かどうかは時が来ないことにはわからんが……僕も概ね同意見だ」
    「恐悦至極」
    「お前さんみたいのがいるならうちも安泰だな。よし、そうとなればあの箱入りを引き摺り出すところからだ」
    「……ひきずり……」
    「おいおい、そんな顔をするなよ。冗談だ。もう引き摺り出し終わって色々と仕込んでやってるところさ」
    「……兄貴……」
    「当の山鳥毛はまだ意図に気付いていないようだがな。さて、僕は務めに戻るとしよう。お前さんも励めよ。じゃあな、日光の坊主」
    「は。承知。……ご存知だったのか、俺の名前……」


    日光一文字、初めての長の左腕業務(体験版)。
    氏が当主の時代は吉岡も岩戸もひっくるめて面倒見てたようなイメージ。でもひっくるめて束ねる経営方針は祖にしかできないよね〜ってことでそれぞれ分家したようなイメージ。
    兄貴はこのときうはははされながら頭撫でられたのをずっと覚えていてしまっている。憧憬にも満たないそいつが一体何なのか、名前をつけてしまいたいようなそれはひどく癪なような。
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