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    阿助/

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    阿助/

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    バレンタインのチョコで悩むアズサ

    バレンタイン アズサはチョコの箱を睨みつけていた。
     失敗したかもしれない。買った瞬間はその可愛さに頬を赤らめるほどテンションが上がっていたが、いざ渡すための紙袋に移そうとするとそのチョコの箱は驚くほど派手に見えた。
     ただの友チョコ、されど友チョコ。
     これを渡す予定のリー、アズサの幼馴染で親友のその子は毎年呆れるほどの量のチョコを配り歩いている。友達が多いのだあの子は。高校に進んで学校が別々になった今もきっとそうだろう。
     アズサだって友達がいないわけではない。が、わざわざチョコを渡すのはリーにだけだ。
    (重いかな、これ)
     もう一度箱を見る。
     ひらひらふりふりした装飾のその箱は普段の自分の服装に似ている。買い直す時間もないしな、と紙袋に仕舞った。
     リーのことだ。今年も眩しすぎる笑顔でこれめーちゃ可愛いじゃん!なんて言いながら受け取って、お返しに学校でみんなに配ってきたチョコのうちのひとつを渡してくれるだろう。

     放課後、いつもの公園で待っているとリーは紙袋を2つも持ってやってきた。元気で明るい人気者は配る量が多ければもらう量だってすごいのだ。

    「うわ!渡しそびれるところだった!」
     いつも通りくっちゃべりながら家の近くまで来たところでリーが言う。危ない危ない、とチョコをアズサに差し出した。
     それは小ぶりだが、リーが選ぶにしては随分派手なパッケージだった。
    「可愛いでしょ。これ見た瞬間さ、絶対にアズサに渡したいなぁって思ったんだよね。」
     他の子には駄菓子のたくさん入ったやつにしたけどアズサは特別だからさぁ、とウインクしながら渡してくる。アズサは受け取ったそれをじっと見る。リーが普段選ばないであろうそれはひらひらふりふりしていて、アズサの服みたいな。
     なんだ、私達はお互いに特別なんだな。自分の持ってきた似たようなチョコの箱を見てリーはきっと笑うだろう。じゃあ私からもね、とアズサもチョコを差し出した。
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