韋駄天×女夢主 1(アキレウス視点)「マスター、頼みがある。俺に魔力供給をしてくれないか?」
マスターの部屋に入室させてもらうなり、俺は直球で用件を告げた。
「――――!!」
告げた……のだが。マスターは俺の方を見たまま、口をあんぐりと開けてフリーズしていた。ついでに、そのままの姿勢で顔を赤くさせたり青くさせたりしている。器用だな……?
「おーい、マスター? 黙り込んで、百面相してどうしたー?」
「ッッダメです――ー!!」
いつまでも眺めていたい気もする面白さだったが、いかんいかん話が進まんと、マスターに近付いて声を掛けてみる。
と、現実に戻ったマスターは、無我夢中といった様子で床を蹴り、壁際まで退避していった。キャスター付きのイスで高速移動――まあ俺の足には劣るが。とはいえ突然のことだったので、俺は驚き立ち竦んだのだった。
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