プラフラの短編的なものパシオでのある日のこと。人で賑わう中心地から遠く離れた街外れにある小さなカフェで、プラターヌはフラダリと向かい合いながらコーヒーを味わっていた。閑散としたそのカフェは日常のしがらみから離れ、二人で憩いのひと時を過ごすのにうってつけの場所だった。
歩いているだけでも気持ちが明るくなるような快晴の空の下、向かいに座るフラダリを見ると、普段とは異なり穏やかな空気を纏っているように見えた。差し込む柔らかな木漏れ日が彼の手元を照らし、左手の薬指に嵌められているメガリングがキラキラと反射して見えた。今まで特に気に留めてはこなかったが、そのリングがやけに目に留まった。
「フラダリさん、その左手の指輪なんだけど……」
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