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    koke96546183

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    プラフラの短編的なもの

    「やーフラダリさん!ここにいたんだね!」

    プラターヌがカフェのテラススペースに見慣れた逆立てられた赤い髪を見つけて声をかけると、フラダリは振り返って挨拶するように右手を上げた。
    「丁度良かった、今フラダリさんに会いたかったんだ……あれ?取り込み中だった?」

    プラターヌがにこにこと笑顔で話しかけながら近づくと、
    フラダリは手元にタブレット端末を用意して何が作業を行っているようだった。

    「ええ、急用が入りまして。すぐ終わりますので、申し訳ないのですが……少しお待ちいただいてもよろしいでしょうか」
    「大丈夫だよー!いくらでも待つよ!隣りに座ってもいいかな?」
    「構いませんよ」

    近くの店員に声をかけてコーヒーを注文すると、フラダリと同じテーブルの空いていた椅子にプラターヌは座り、
    そのまま手元のタブレットを真剣な顔で見つめるフラダリの横顔を眺める。

    (相変わらず綺麗な顔をしているなぁ)

    綺麗な二重の切れ長の目を伏せているため、男性にしては長い睫毛が瞳にかかってみえる。
    高い鼻筋と一文字に結ばれた唇はバランスよく配置されている。
    見つめているだけでもあっという間に時間は過ぎていきそうだった。
    そうして見惚れていると、プラターヌはふと自分のポケットにお菓子を仕舞っていたことを思い出した。
    ポケットから取り出し、紙でできた箱を開ける。中にはチョコレートがいくつか個包装で入っている。
    そのうちの一つを摘まむと、封を開け口に放り込んだ。
    甘みと苦い香りが口の中に広がる。運ばれてきたコーヒーを飲みつつ、やっぱりこのチョコはコーヒーに合うなあ、と内心慣れ親しんだ味に気持ちが落ち着いたところで、せっかくだからフラダリさんにもお裾分けしようとして−−−プラターヌにふと悪戯心が湧いた。

    (もしかしたら……怒られるかもしれないけど……)

    チョコの包みを一つ取り出し、封を開けて中身を指で摘む。
    そしてそのチョコレートを、自分の口元ではなく、隣の席で画面を見つめているフラダリの口元へと運んだ。
    気が付かれているのか、余計なことをするなとたしなめられるのか。プラターヌの鼓動は自然と早くなった。
    恐る恐る口元まで運ぶと、ゆっくりとフラダリの唇にチョコを触れさせる。
    するとフラダリの閉じていた唇が開き、押し込まれたチョコをそのまま食べた。
    表情1つ変えず、目線をプラターヌの方に向けることもしなかったが、口を動かしてチョコを食べているようだった。

    (た、食べてくれた……!!)

    プラターヌは、自分の試みが上手く行ったことに内心ガッツポーズを取る。
    そしてもう一つ包みを開けると、口の動きが無くなったのを確認してからもう一度口元へチョコを運んだ。
    するとやはり特に拒絶されることもなくチョコが口の中へと消えていく。
    まるで餌付けをしているような奇妙な感覚と達成感に、ますます楽しくなった。
    また一つ包みを開けて口へ入れる。なくなればまた一つ取り出して口へ入れる。
    相変わらず口元まで運べば素直に食べている。
    フラダリが素直に食べてくれることが嬉しくて、プラターヌは光り輝くような顔で微笑んだ。
    4つか5つ運んだところで、もう一つ口に放り込もうと一人でにこにこしながら包みを開けていると、チョコを食べさせようとしていないのにフラダリが口を開いた。

    「……プラターヌ博士」
    「あー……余計なお世話だったかな……?」

    流石に調子に乗って食べさせすぎたか……とプラターヌが苦笑いを浮かべる。
    フラダリは一旦手を止めてプラターヌの方を見つめる。

    「いえ、チョコレートを分け与えていただけるのは感謝しているのですが……ご自身も食べたら如何ですか」

    そう言った後、フラダリは唇についたチョコを舌舐めずりする様に舐め取った。僅かに見えた赤い舌先に、明るい時間帯ながらプラターヌの背筋がぞくりとした。

    「……ボクは大丈夫!いつも食べてるチョコだからね!それに……」

    プラターヌは、まるでいたずらを隠す少年のような笑みを浮かべながらチョコレートの包みを開けた。そして今度は自分の口元にもっていき、唇で挟む。
    そのまま立ち上がると、座っているフラダリの肩に右手をかけた。左手を頬に添えると、優しく自分の方へ顔を向けさせる。そしてフラダリの口元に自らの唇を寄せた。チョコレートを挟んで、二人の唇が触れ合う。そのまま舌でチョコレートを押し込むと、フラダリは拒否することなく受け入れた。
    ビターチョコレートの甘い香りがする口腔をプラターヌは舌先で一瞬味わうと、すぐに唇を離した。

    「ボクの分はこれで十分かな……?」
    「全く貴方という人は……欲深いのか欲深くないのか……」

    フラダリはくく、と喉の奥で笑った。

    「この程度でいいのでしたら……いくらでもお分けしますが」
    「ほんとうかい?……じゃあ、この後の時間を楽しみに待っているよ」
    「では、早く片付けなければいけませんね……もう10分ほどお待ちください」

    プラターヌは椅子に座りなおすと、コーヒーを一口飲んでそのままフラダリを見つめていた。
    そして、きっちり10分以内に作業を終え、二人で並んでカフェを出た。
    そのあと、どんな時間を過ごしたかは二人だけの秘密である。


    おしまい
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