12/10揃いのドレスで腕を組んで「じゃあ、こっからここまで着てみてね♡」
「あの、ドレスは不要なので」
「着てみてね♡」
「ぐう」
俺のかわいい秘書に貴族会用のドレスとスーツを買いに来た。午前中に俺のスーツを選んだので、次はこの娘の分である。
……午前中は大変だった。仕立屋に入るなり彼女はめちゃくちゃにテンションを上げて、危うく店内の服を全て着させられるところだった。なんとか回避したものの彼女はなかなか粘り強くて、店員と生地やスーツの形や生地について話し込んでしまい、注文書の長さにちょっと引いた。
そして昼を挟んで俺のターンである。目星をつけておいた女性向けの仕立屋に行き、こちらは事前に何着か用意させておいたのでそれを着てもらう。
彼女は俺に甘いので笑顔で頼めばだいたいのことはやってくれるのだ。
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