空厳寺に現れた野良のkitty郎のお話空却がいつも通り寺で掃除をしていると1匹の猫が遠くからコチラを見ていることに気づく。空厳寺にはたくさんの猫が出入りするが見慣れない猫だった。それがキティ郎。見た目は随分とボロボロで、さらにはどうやら腹を空かせているようだった。空却が餌を置くとさっとそれを咥えてどこかに消えてしまった。何日かそんなことが続いて、だんだんとキティ郎くんは空却に懐いて撫でられたりするようになる。しかし餌を空却の前で食べることはない。おそらくどこか別の場所に家族がいて餌を持っていき食わせているのだろうと空却は予想していた。
ある日、珍しくキティ郎が「にゃーにゃー」鳴きながら空却の足元をフラフラと回るのでついて行ってみると、茂みにひっそりと小さい生き物が2匹いた。ポチャ郎とポム郎だった。
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