きよしこの夜空に 氷の破片を鏤めたかのような冷たく澄んだ星空の下、白亜の王城グランコリヌを中心に扇形に広がる城下町は屋根屋根に雪を冠し、一層白く輝いていた。
だがそれ以上に今宵の街並みはきらきらと目映い。冬祭りの華やかな燈火と蝋燭、装飾を施した窓から漏れる暖かな光を照り返して煌めいているのだ。街の至るところに屋台が立ち並び、この日のために組み上げられた舞台の上で楽団や劇団の演目が繰り広げられている。冬の、祝祭の夜だった。
そんな中、連れ歩く二人の姿があった。
一人は先導するかのように一歩ほど前を歩く線の細い男、アラミス。二振りの剣を腰に佩いていることからも剣士であることが察せられる彼は、持ち得た高貴な名と地位を捨てて各地を流れる傭兵である。降り積む雪にも劣らぬほど白い肌と豊かな長い金髪に透き通る碧の瞳。上背があることを除けば美女とも見紛い兼ねない中性的な容姿を持つ彼は祝祭の様子にその涼やかな目許を細めていた。
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