変化の最中旭がフォークになってしまった。
いつも通りに学校へ行って、終わってから待ち合わせをして、一緒に買い物に行って。その帰り。
余所見をしていたせいか、俺は段差に躓いて膝を擦りむいてしまった。いつもならば旭は大袈裟なくらいに慌てふためいて、急いで応急処置をしようとしてくれるのだけど。
──旭は、俺の傷口を穴が開くほど見つめていた。
ケーキとフォークという第二の性別が、この世には存在している。ケーキは先天性、フォークは後天性。捕食者と被捕食者の関係。といっても聞くのはにわかには信じがたいような噂話ばかりで、真実は闇の中だった。人間が人間を食べるなんて、よほどの異常者でなければあり得ないし、どうせ眉唾物の陰謀論の類いだと思っていた。
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