Which one is more loving「嘘やん」
本日発売のラーメン情報誌を購入し、いい休日の始まりだと気分良く書店を出ようと自動ドアを通過した神々廻は眼前に広がる光景に呆然と立ち尽くした。
雨が降っている。
しかもかなり激しく。
エントランスには同じように思わぬ雨で足止めを食らっている客が何組もおり、彼らに混じってぼんやりと雨の景色を眺める。今日の天気予報は雨だっただろうか。降り方からして恐らくにわか雨か。少し待てば止むだろうか。この書店にはカフェが併設されているのが不幸中の幸いだ。家でゆっくり読み込むつもりだったが、たまには優雅にコーヒーを飲みながらというのも悪くはないと思い直して踵を返す。
「神々廻」
ひどい雨音にもかき消されることなく耳に入ってきた声に足を止め、ゆっくりと振り返れば笑顔で手を振る南雲が立っていた。
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