マグカップ洗濯物を干していたら、ガチャっと大きな音がした。
台所で洗い物をしていた流川を見ると、泣きそうな顔でこちらを見ている。
「流川!大丈夫か?指!」
手に持っていたジャージを投げ出し、慌てて流川に駆け寄る。
シンクの中を見ると、大きく欠けたマグカップが転がっている。
「せんぱい、ごめんなさい」
「お前、けがは?」
「大丈夫」
「大丈夫って言ったって」
流川の手からは洗剤の泡がぽたぽたと落ちている。
「とりあえず一回手洗って」
「うん」
「手ぇ拭いて」
「うん」
「こっち来い」
流川をソファに引っ張っていき、自分の横に座らせて手や指先を確認する。
「ケガは大丈夫だな」
ケガはしていないが、項垂れてひどく落ち込んでいる。
「おい。大丈夫か?」
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