チノアジ・カワール薬※ドラルクSide
「気分でチノアジ・カワール薬?」
お祖父様が持ってきた大量の発明品の中にそれはひっそりと置かれていた。
一見何の変哲もない錠剤に見えるそれは、飲ませた相手から血を吸うと相手の感情によって味が代わるという所謂吸血鬼向けのジョークグッズの類らしい。
吸血という言葉を見て、私は最近できた恋人のことを思い出していた。
退治人ロナルド
日本人離れした美しい外見
吸血鬼も一目置く腕利きの退治人
退治人の傍ら執筆業も好調で今や人気作家
こうして並べてみると一見ハイスペック良物件に見えるが、蓋を開けてみればただの心優しきゴリラである。
ドラルクとロナルドが一悶着あって同居人になり、相棒を経て恋人という関係になったのはまだ最近の事だ。
1961