(アンソロサンプル)司レオ:その先の福音「ああ、ちょっとまずったかナ……」
目の前に立つ真っ赤な髪の男は、不自然なイントネーションで、ぼやくように呟いた。
自分と同じくらいの体格のそいつは確か、校内で見たことがある小生意気な後輩だったはずだ。どうしてここに? そんな風に記憶を辿ろうとした瞬間、眩暈のような感覚と共に思考が揺らぎ、ぺたりとその場に腰を落とした。
訳が分からないまま辺りを見渡すと、ベッドが三つ並んだ真新しい部屋だ。恐らくは、共同生活のための空間。
「ここ、どこだ……?」
♪
「……それで、一体何があったと言うのですか?」
司は眉間を押さえて、情報の整理に努める。此処は星奏館の一室――レオ、夏目、なずなが生活を共にする三人部屋だった。
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