Every Jack has his Jill とある島には少し変わった動物達が住んでいる。ネギが好きなワニに、鎧兜を身に着けた犬、うさぎの姿をした月の使いなんて変わり種も。猫の妖精のアルバーンもそのうちの一匹で、楽しそうによく笑うのが印象的な彼だが今は眠たげに目元を擦って今にも瞼が落ちてしまいそうだ。
「いらっしゃいアルビー…って、随分眠そうだけど大丈夫?」
「んー……実はそのことで浮奇に相談があって」
オヤツ時も近いということで先日購入した新しい豆で珈琲でも淹れようと考えていた浮奇だが、訪ねてきたアルバーンの様子がこれでは味を楽しむといった雰囲気でもない。勿論、話を聞くつもりはあるがこれは休ませた方が良さそうだと判断すると、来客時に案内するテーブルにではなくソファへと座るよう促して自らもまた隣に腰を下ろした。少し袖を引くだけでゆらゆらと今にも舟を漕ぎ出しそうな身体は簡単に寄りかかってくる。それを浮奇が自慢の毛並みでぽふりと受け止めると、アルバーンは眠たげな声でぽつりぽつりと話し出した。
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