笑顔 隣のシャルロットを見て納得した。ふーん、頬袋ねえ。頬に餌を詰め込んだ小動物と目が合う。
「ほっぺ付いてるよ。ほら、ここ」
自分の頬を指差して教えてやればグイッと拭った。そんな拭き方したら広がるだけでしょう、もう。仕方が無いなと布巾で拭いてあげると、また正面からクスリと聞こえた。
「今度は毛繕いとか言わないでよね」
ジロリと睨んでやると、おお怖い怖いと揶揄われる。そう言うとこだぞ。でもシャルドネに怒ったところで馬の耳に念仏な訳で、そもそもこの家に居る人でちゃんとした耳が付いてるのは少数だしね。ほらまた増えた。
「うあああん、お昼食いっぱぐれたあ!?」
「大丈夫、今日は沢山作ってるからまだあるよ」
「アウリス本当?!ふう、良かった。飢え死にする所だった」
ウェイドが流れる様に尻を掴んでるのが見えるし、それを事もなげにいなしてるアウリス。見慣れた光景だけど、甘やかすのも程々にしなよね。
それにしても、動物ねえ。前に皆でお互いを動物に例えた時は何て言ってたかな。確かウェイドは、狐?
化かすとか、化かさないとか何とかって話してたな。よく喋るから僕的には鳥のイメージだけど。そんな事より、折角の休みだからショッピングしに行こうと思ってたんだった。他に誰か出掛ける人居るかな。
恥ずかしい、まだ付いてたのかな。ネモが丁寧に布巾で拭いてくれた。
「ありがとう」
お礼を言うと綺麗な笑顔が返って来た。
ここに居る皆は、口下手な私の言葉もちゃんと待ってくれる人ばかりで優しいし、賑やかで楽しい。お風呂に浸った時みたいに気持ちいい空間で、ずっと浸っていたいと思える笑顔の絶えない家。
「嬉しそうだね姉さん」
「うん」