「シュウってさ、いい子って言われるの苦手?」
「……なんで?」
リズム良くキーボードを叩いていた指が、一瞬動作を鈍らせる。
仕事の会議が済んだ後、いつもの様に各々の作業をしながら通話を繋いでいた僕とアイクは、特に会話という会話をするでもなくただお互いの独り言を共有するような、そんな時間を過ごしていた。
「なんとなくそうなんだろうなって。だから何って訳でもないんだけど」
作業しながら宙に投げかける口が気持ち良いだけの呟きではなくて、確信を含んだ僕に対する明確な問いかけ。
彼は稀にこうやって核心を突くような質問をしてくる。
いつもの様に「YES」か「NO」で答えればよかったのに、思わず掘り下げるような返しをしてしまったことに今更後悔した。
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