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    TRPG_nekomo

    @TRPG_nekomo

    偽猫/ほほえみネコモドキのTRPG垢です

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    TRPG_nekomo

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    シナリオネタバレはランタンのみです

    悪夢ここは、どこ?
    暗くて、天井もかべもないみたい
    何も見えないよ ぼくは、どこにいるの?
    だれかいないの? ぼく一人だけなの?
    …こわいよ どうしてぼくはここにいるの?

    ……………………
    何か、声が聞こえてきたような気がする
    何の、声だろう?

    『…えは………りえのな………はじさ………』
    『…こんなこと………うなし………』

    …こわい声 からだが ふるえてうごけない
    ちかづきたくない けど ちかよってくる
    にげれない からだが うごかない

    『…なんで、お前はこうなんだ!!』
    『勉強しても、こんな結果しか出せないなんて』
    『我が一族の恥晒しだ!!この能無しが!!!』
    『お前にあるのはたかが容姿だけだ、それ以外何もない』
    『こんな奴が鳳家の息子なんてな、笑わせてくれる』
    『あぁ憎たらしい、憎たらしい、お前の存在が憎たらしい』
    『結果が出せないのならば、消えてくれないか』

    こわい こわいよ なんでそんなににらむの

    なんで なぐるの?

    やめて いたい こわいよ 
    たたかないで なぐらないで 
    にらまないで さけばないで

    ごめんなさい、ごめんなさい、がんばっても、努力しても、結果を残せなくてごめんなさい 
    なにもできなくてごめんなさい 

    でももっとがんばるから、努力するから
    そうしたら、にらまなくなるよね?
    たたいたり、なぐったりしなくなるよね?
    わからないよ どうすればいいの
    ねぇたすけて、たすけておかあさ

    『がんばらせても、あんな結果だもの』

    おかあ さん 

    なんで なんで前みたいに笑ってくれないの? なんで そんな冷たい目で ぼくをみるの?

    なんで はなれていくの? さみしいよ
    いかないで おいていかないで
    たすけて おとうさんはこわいよ
    いかないで いかないで ここはぼくひとりしかいなくて くらくて こわいよ


    ねぇ なんで なんでだれも いないの?
    ぼくが 見た目以外とりえのないやつだから?
    いちど、やつあたりしてしまったから?
    勉強ばかりで、いっしょに遊べなくなったから?

    ぼくが、こんなやつだから?
    こんなやつだから、ここに閉じこめられてるの?

    ごめんなさい こんなやつでごめんなさい
    ちゃんと変わるから ちゃんと努力するから
    何がよくて何がだめなのかおぼえるから
    何をしてよくて 何をしてはいけないのか 考えるから
    もう やつあたりなんてしないから
    もう 人に悪くいわないから

    だから だから だして 
    ここはこわいよ くらくてひとりでおかしくなりそうだよ さみしいよ つらいよ くるしいよ

    ねえ  だれか  だれか


                     たすけて




    「……………ッ…!!」

    勢いよく起き上がる。
    呼吸が、苦しい 
    空気が身体に入らないようで、吸っても、吸っても、まだ足りないと、動悸がおさまらない。
    苦しい、どうにか、しないと。

    (…逆だ、ゆっくり、息を吐いて、空気を取り入れないと…)
    (…深呼吸……吐いて…………吸って…………ゆっくり………)

    胸を抑えて、ゆっくり、何回も、何回も全身を使うようにして、呼吸をする。


    少し酸素が回ってきたのか、今まで見えていなかった景色が少しずつ見え、頭も回り始めたようだ。

    辺りを確認すると、カーテンの隙間から日光が薄く差している、物の少ない部屋だった。色も少なく、紺に近い色で統一されている。そして今自分はベッドの上にいて、寝転がっていたところを飛び起きた…という流れのようだ。

    ああ、ここは自分の部屋なのか、そして今までは悪夢を見ていたのか、と理解する。

    汗がつぅ…と肌をつたっていく。服が肌に纏わりついて気持ち悪い。顔を洗って服を変えて、早くさっぱりさせたい。いっそシャワーでも浴びようか。

    とりあえずは行動しようと立ち上がると、何かがベッドの上に落ちる音がした。ベッドから立ち上がったときの振動のせいだろうか?元の位置に戻そうと、それを手に取る。

    それは、紺色の小さな巾着袋だった。こんなものをベッドの近くに置いていたのだろうか?と思いつつなんとなくその中身を取り出す。木彫りの彫刻、自分に勇気をくれた人が「自分達に」と渡してくれたものだ。不思議とこれに触れている時は、心が安らぐように感じる。

    今だって、さっきまでずっと感じていた動悸が少しずつ収まっていくのを感じる。…あの時だけじゃない、二度と会えなくなった今ですら、あの人に助けられている。

    …報われてほしいな 
    あの後どうなってしまったのか、今となっては知る由もないけれど。

    あの人もそうだけど、ここ数ヶ月で恩人を作りすぎた。取り柄も、できることも少ない自分が、一体その人たちに何を返せるのだろう?


    ちゃんと考え続けないといけない。

    悪夢に囚われてる場合ではないんだ。


    木彫りの彫刻を巾着袋に入れ直し、もらったぬいぐるみの側におく。ぬいぐるみを少しだけ撫でて、服を取り出しシャワー室へ向かう。





    悪夢を見た日は、1日中ずっと息苦しくて体が重たかった。悪夢を見る度に、一体いつになったらこの繰り返しが終わるのか、そう思ってた。
    だけど最近は、少しずつ…調子を取り戻すのが早くなっていってる気がする。
    …変われてると、信じてみたい。
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