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    からん

    @Qurioneko

    プロフ画はこちらよりお借りしました。
    Picrewの「べあめーかー」でつくったよ! https://picrew.me/share?cd=prJk36p3BQ #Picrew #べあめーかー

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    からん

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    現パロ高校生(シャディミオ5本、4スレ1本)纏めました。

    きみと青い春01

    「すいません、ちょっといいですか」
    此処はゲームセンター、しかもクレーンゲームに特化している場所だ。そして私は店員、なので呼ばれることには慣れている。慣れているのだが、頭一つ以上は大きい男性には流石にたじろぐ。あ、しかもこの制服は有名私立校だ。モデル並みどころかモデル越えの高身長に、金髪をポニーテールにしているというスタイルすらよく似合う。
    「一つ取れたので、もう一つを移動して貰いたいんです」
    「了解しました。一つ取られたとは、おめでとうございます!」
    「ありがとうございます」
    驚くほど眩しい笑顔である。人生経験豊富ではない私にとって、今日が最高の日かもしれない。そんな彼に案内されて、やってきた筐体前には大きなエビフライ(冗談でも比喩でもない、巨大エビフライのぬいぐるみがあるのである)を抱えている美少女が待っていた。イケメンに目を潰されたかと思った次の瞬間、眩い美少女に目を焼かれた。どうなってるのこの高校、もしや顔面偏差値でもあるのかと時代遅れな偏見すら持ってしまう。美少女の髪色は、まるで男子高校生の対になるような白銀をしていた。近付かない距離でも睫毛の長さが見えて、エビフライの尻尾に顔を埋めるだけで可愛さが炸裂している。
    「同じものでいいですか?」
    「はい、……ん?」
    にこやかな男子高校生はぺしぺしと腰を叩かれて、傍らの美少女のために身を傾ける。ああ、何をしても絵になるなあ。私よりも背が小さいからか、エビフライも相俟って妖精に見える。
    「あの、色違いでも平気ですか?」
    「もちろん、構いませんよ。頑張ってください」
    エビフライのみならず、エビの天ぷらもあるのである。新しくぬいぐるみを指定された位置に置き、鍵を閉める。軽く会釈するのは美少女の方で、抱えていたエビフライを男子高校生に渡す。
    あ、逆だったのか。
    てっきり、彼が取ったのかと思った。エビフライを抱える彼がにこにこと見守る中で、彼女がクレーンを移動させている。その場に留まることは出来ないので後ろ髪引かれつつも、エビフライと天ぷらをそれぞれ抱えて帰る二人を目の端に捉えて心なしか嬉しい気持ちになった。





    02

    「エランさん!何か欲しい物は、ありませんかっ?」
    「……欲しい物……」
    「はいっ!なんでも取ります!ぬいぐるみでも、箱物でも、お菓子でも!」
    スレッタ・マーキュリーと下校を共にして、ゲームセンターに訪れている。両手に拳を構えて気合を入れている彼女は、どうやら此処に置かれているクレーンゲームが極めて得意、らしい。「これだけは私がミオリネさんの先生なんです、ふふん!」といつも以上にはしゃぐ姿が眩しくて、僕はその姿を眺めるだけでも十分に満たされている。ただ、ここで欲しい物がないと応えたら、彼女はしゅんと落ち込んでしまうだろう。もしかしたら、私では役に立てないと全く関係ない勘違いをしてしまうかもしれない。彼女は心優しく、そして繊細だ。
    「……欲しい物、は、アレとか?」
    「!わっかりました!」
    嬉々として、彼女が向かう。そこには、色とりどりの大きなうさぎのぬいぐるみが寝転んでいる。そして彼女は自負した通り、何ら不都合もなくうさぎのぬいぐるみを取り出した。
    「えへへ、どうぞ!」
    薄緑色の、ライムと名付けられているうさぎを抱える彼女が見たくて、笑顔で差し出されると受け取るのを一瞬躊躇った。
    この子は、キミに持っていてもらいたいな。
    口に出したつもりはなかったが、彼女の瞳が不思議そうに瞬いた。
    そして──僕はもう一度、お願いした。
    「エランさんはベリーちゃん、私はライムくんをお持ち帰りしました。とってもかわいくて、ふかふかなんですよ」
    「ふーん?ちゃんとお揃いしてるじゃないの」
    「?……っ!!」
    「無自覚だったのね」

    「お揃いにするとは、可愛過ぎるね」
    「うん、彼女によく似合う」
    「……そういうとこも言えるようになったんだなあ」
    「何故目頭を抑えているの、シャディク・ゼネリ」





    03

    「わあ……!」
    甘い匂いが満たされている温室に入ると、彼女の瞳の輝きが増す。この反応が見たかったんだ。ミオリネとのデートで何処が一番喜ばれるのか、一ヶ月前から悩んだ甲斐があった。きっと何処だろうともそれなりには喜ばれただろうが、この瞳の輝きは、間違いなくこの場所のお蔭だ。
    此処はイチゴ狩りの出来る農園の温室だ。彼女は、母親の残した野菜を惰性で育てているのではない。彼女自身が、農作物に対する関心が強いのだ。自分の手から作り出すモノが、たくさんの笑顔を生み出すのが嬉しい。そんなことを真っ直ぐに言える彼女が眩しくて、愛しい。故に、彼女の農作物への興味は尽きない。イチゴ狩りの前にも、農家の方と盛り上がっていた。此処では妬かない、寛大な心を持てる俺だ。
    「此処にあるイチゴが、三十分食べ放題なのね」
    「ああ、どの種類でも構わないって」
    「そう、なら早速食べないと……!」
    キャスケットを被りオーバーオールスタイルという、普段はなかなか見ない動きやすさを重視した服装もかわいい。大小様々な赤い果実を前に、身を屈めて真剣な顔つきで吟味するのもかわいい。どうせなら端末で撮影したいところだが、彼女の邪魔はしたくない。だから、後に続いて歩く。目線や口パクで、このイチゴが美味しそう!と伝えてくるミオリネを、目に焼き付ける。他の客に何度か声を掛けられた気がしたが、きっと気の所為であり、彼女もまた他の男性客から遠ざけられて何よりだ。
    列ごとに分けられたイチゴの種類も様々で、真紅のものだけではなく黒や真っ白なんて種類もある。どのイチゴも、農家の方々が品種改良を重ねてきた結果であり、結晶だ。この一粒が実るまでに、どれだけの夜を過ごしてきたのだろう。
    「んん、あまい!」
    ミオリネの、屈託なく綻ぶ笑みを間近で見られるのだから、俺とて農家の方々には感謝しかない。味の違いを確かめながら、ふとミオリネは俺に振り返る。
    「私にくっついてないで、あんたも食べなさいよ」
    「うん、でも俺は今のままで満足だからな」
    「いや、意味わかんないから……と、ほら」
    「ん、」
    差し出されたのは真っ白なイチゴ。唇に押し当てられた瑞々しさと、目線で促されて齧ると、口の中で甘みが弾けた。予備として渡されている練乳は、使う必要もなく爽やかに甘い。
    「おいしい」
    「ね、見た目の映えだけじゃなくて、しっかり美味しいわ」
    ぱくり。半分欠けたイチゴは、自然な流れでミオリネの口の中へ消えていく。ああ、イチゴが狡いなと思うのは流石にどうかしていると気付いたので、俺も自然な動作で彼女の口の端を指の背で拭っておく。それだけで、熟れた果実の紅さを魅せるミオリネこそが、何よりも甘いのだ。





    04

    「プリン君が欲しい」
    「うーん、出るかな……」
    「プリン君が欲しいの!」
    うわー、めちゃくちゃ可愛い女子高生がどえらいイケメン男子高生を困らせてる。それがゲームセンターのクレーンキャッチャーならまだしも、求めているのはガチャガチャだ。試されるのは物欲センサー、そして強運。男子高生がシナモロールやマイメロディを数個抱えて困惑しているが、女子高生は全く引きそうもない。そして、お目当てのキャラも引きそうにない。およその割合はキャラ数で割った数だが、それが規則的に排出されるとも限らない。
    それにしても、目立つ二人だ。身長差や髪色が目を惹くのだろうか。彼女の推しキャラがプリンなのかなと思いきや、彼女の鞄についているのはシナモロールである。おや、と思うと、男子高生の鞄にはひとつだけプリンが揺れている。となると、彼女は彼氏のために出そうとしているのか。おお、これが噂のリア充なんだな。
    「っ、やったわシャディク!」
    全部を空にする前に、どうにかお目当てのプリンが登場したようだ。どこかキツそうにも見える美人が、喜色満面で跳ねるとは予想外過ぎた。ギャップ萌えだなあ、なんて思った矢先に強い視線を隣から浴びる。いや、浴びるどころか突き刺さった。
    「よかったよ、君が手にすることが出来て」
    女子高生がいそいそと彼氏の鞄に付けようとして、彼氏はそれを自然に受け入れながら自分を盾に影に隠して、此方をしっかりと見ていたのだ。その澄んだ翠が、『お前に見せる彼女などいない』と突き刺してくる。一見、我儘な彼女に振り回されている頼りない彼氏だと思えたのだが、なかなかどうしてその威圧感は恐ろし過ぎた。背中に冷や汗をかいて、手近なガチャガチャを見つめる。わー、ヤマタノオロチだ、格好良いな。レアなものは金色だ。
    「こっちはスレッタたちにあげましょ」
    「ああ、きっと喜ぶさ」
    通り過ぎていくご満悦な女子高生と、付かず離れずの距離を保つ男子高生。リア充であるには違いないが、とてもじゃないが爆発なんて願えなかった。




    05

    理事長室に戻ると、片付けられた部屋のソファで洋書を読書していたシャディクが眼鏡をしている。縁の無いスクエアタイプだ。なにそれ、聞いてない。
    「…………」
    「おかえり、どうしたんだい?」
    「別に」
    「?」
    想像したことない、わけじゃない。ただ、思っていたよりも似合っていることが、格好良くて複雑で不機嫌になる自分も、いかにも子供っぽくてイヤになる。特に眼鏡が好きなわけじゃないのに、胸がときめいたのもムカつく。そう思いながら、私もまた自分のメガネケースを取り出して掛けた──ところで、手首を掴まれた。いや、早すぎて怖い。見れば、その顔は真顔である。普段の穏やかな空気を、一瞬で切り替えてくるこの男は時に恐ろしい。お互いのレンズ越しに、視線が交わる。
    「待って、君が眼鏡なんて聞いてないんだけど」
    「言ってないけど」
    「……うん、そうか」
    「なによ」
    「……それは、俺以外に見せないで」
    「はあ?」
    「頼むよ」
    どうしてこんなことで、そんな切ない顔をするの。振り払うよりも、その顔に絆されそうになる自分が悔しくて、独占されようとする喜びが唇に出ないように一度引き締めた。でも、つい弛んでしまう。
    「何よ、そんなに似合ってる?」
    「ああ、狡いくらいだよ」
    その姿のままなら踏まれたいかも、という言葉を私は聞き逃したりしないわよ。 




    06

    料理は女性の仕事であるなんて、旧時代にも程がある価値観である。食べるのが好き、作るのが好き、色んな価値観があって然るべきであり、偶々俺は料理をするのが好きだった。なので、俺がキッチンに立つのは何ら可笑しいことではない。何よりも、俺の作る料理で彼女が微笑みを見せてくれるなら、これ以上に幸せなことはない。
    「猫の手だよ、ミオリネ……!」
    「わかってるわよ、あんたは戻っていいって」
    怖い。もう怖い。正直、自分が包丁で指を切り落とした方が安心するほどに、ミオリネの包丁さばきが怖い。彼女の白魚が如き指を傷つけようものなら、俺はその場で失神するだろう。それでも、彼女自らの希望で作りたいと願われてしまえば、断れる訳がないのだ。ポニーテールにギンガムチェックのエプロン姿のミオリネが、奮闘するだけで俺は全力で応援する。しかし、おのれ玉ねぎ。ミオリネを泣かせたな……!
    彼女の希望は最優先だが、細かな部分は手助けをする。いつも以上に細かなみじん切りで後押しをして、使い終えた調理器具はその都度洗って場所を確保しておく。あまり出しゃばるとミオリネに叱られるのだが、サラダを任せているので安心だ。新鮮な野菜は家庭菜園の賜物だし、ちぎって作るサラダはいい。
    「あとは蒸し焼きと、オムレツね」
    「ああ、完璧だよ」
    「あんたの判定、甘すぎてアテにならない」
    そして、皿の上にはハンバーグとオムライスが彩る。多少の破けた部分や焦げは、手作りらしくて逆に愛しさが増す。それに、ケチャップでハートこそ描かれなかったが、歪なニコちゃんマークが可愛過ぎる。思わず連射したら殴られたが、悔いはない。
    「美味しい!」
    「……うん、まあまあ」
    「凄いよミオリネ、初めての料理でこんなに美味しいなんて、君は才能があるなあ」
    「だから、甘すぎるのよ。もっとちゃんと、作れるようになりたいんだから、甘やかさないで」
    「わかってる。ただ、本当に美味しいんだ」
    「それは……あんたのおかげだし」
    目指せ、プリンくんとシナモロールのオムライス。
    彼女を突き動かす原動力になっているキャラクターに何とも複雑な気持ちを抱くのだが、添え物として作ったマッシュポテトで作ったプリンくんに喜ぶ彼女が可愛いので、お互い様ということにしておこう。
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    からん

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    きみと青い春01

    「すいません、ちょっといいですか」
    此処はゲームセンター、しかもクレーンゲームに特化している場所だ。そして私は店員、なので呼ばれることには慣れている。慣れているのだが、頭一つ以上は大きい男性には流石にたじろぐ。あ、しかもこの制服は有名私立校だ。モデル並みどころかモデル越えの高身長に、金髪をポニーテールにしているというスタイルすらよく似合う。
    「一つ取れたので、もう一つを移動して貰いたいんです」
    「了解しました。一つ取られたとは、おめでとうございます!」
    「ありがとうございます」
    驚くほど眩しい笑顔である。人生経験豊富ではない私にとって、今日が最高の日かもしれない。そんな彼に案内されて、やってきた筐体前には大きなエビフライ(冗談でも比喩でもない、巨大エビフライのぬいぐるみがあるのである)を抱えている美少女が待っていた。イケメンに目を潰されたかと思った次の瞬間、眩い美少女に目を焼かれた。どうなってるのこの高校、もしや顔面偏差値でもあるのかと時代遅れな偏見すら持ってしまう。美少女の髪色は、まるで男子高校生の対になるような白銀をしていた。近付かない距離でも睫毛の長さが見えて、エビフライの尻尾に顔を埋めるだけで可愛さが炸裂している。
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