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    はなねこ

    胃腸が弱いおじいちゃんです
    美少年シリーズ(ながこだ・みちまゆ・探偵団)や水星の魔女(シャディミオ)のSSを投稿しています
    ご質問やお題等ございましたらこちらへどうぞ~
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    はなねこ

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    幼なじみ高校生現パロのシャディミオ小話です。いちゃいちゃしてます。

    #シャディミオ

    シナモンオレンジ「シャディク! わたしと勝負しなさい!」
     ひとつ年下の幼なじみが何かしらの勝負ごとを仕掛けてくるときは、あの薄い腹の内に何かしらの企みごとを含ませているときだ。
    「わたしが勝ったら、わたしのいうこと何でも聞くのよ」とミオリネが持ちかけてくるのは、ときにカードゲームだったりときにボードゲームだったり日によってまちまちだが、対戦成績は今のところほぼイーブン。つまり、百発必中で彼女の目論見通りにことが進んでいるというわけでもない。二回に一回――少なくとも三回に一回は、彼女は敗者にまわり、企みごとは口に出されることなく次の勝負へ持ち越される。
     俺にできる範囲であるならば彼女の望みはできるだけ叶えてあげたいと思うし、負けることは容易いけれど、勝負に手を抜こうものならミオリネは途端に不機嫌になることも知っているから(たまに『あんたが勝ったらあんたのいうこと何でも聞いてあげるわ』なんて条件が付加されるものだから)、なかなかどうして一筋縄ではいかないものだ。
     さて、今日の勝負に選ばれたのはテーブルゲームの王道ジェンガ。
     残り少なくなったブロックでかろうじて支えられているタワー。それは危険だよと危ぶんでいたブロックをミオリネが抜き取ったが、揺れはしたものの奇跡的に崩壊を免れる。鮮やかな形勢逆転、俺がブロックを引き抜こうとした途端、ガシャンと音を立ててローテーブルの上にタワーが崩れ落ちた。
    「わたしの勝ち!」とミオリネが頬をほころばせる。
    「俺の負けだね。君のご用命に応じるよ」
    「それじゃあリップを塗らせて」
     これまた突飛なオーダーだね。
     リキッドルージュ?
     リップグロス?
     どちらなのか定かではないけれど(どちらでもないのかも)、ボンボンキャンディのかたちをしたポーチからミオリネが嬉々として取り出したのは約十センチの縦長の容器。
    「目は開けたままでいいのかい?」
    「いいけど、口は閉じなさいよ」
    「オーケー」
     確かチップと呼ぶのだっけ――かすかにブラウンがかったオレンジ色のルージュをたっぷり含ませた綿棒の先のようなものを、ぽんぽんぽん。やさしくたたくようにして俺の唇へ塗布する。こってりしたテクスチャに見えたけれど思ったよりも軽いつけ心地だ。
    「この色、絶対あんたに似合うと思ってたの。やっぱりわたしの見立てに間違いなかったわ」
     チップを扱う手つきも俺の唇を見つめる面差しも真剣そのもの。あまりにも真剣だから、つい見入ってしまっていたが、
    「――も、もうっ!」
     チップを動かす手を止めて、ミオリネが俺を睨みつける。
    「あんた、じろじろ見過ぎっ! 塗りすぎちゃったじゃない!」
    「それも俺のせいなのかい?」
    「あんたのせいよ」
     鏡がないので自分の唇がどんな具合なのかまったく分からないが、
    「塗り過ぎたっていうのなら、持ち主に返さないといけないな」
    「返すって、え」
     何を、と言いかけた唇に、ふたをするようにキスをする。
     そっと顔を離すと、ミオリネの唇がチップの先と同じオレンジ色に染まっていた。ということは、俺の唇もミオリネとおそろいの色に染まっているってことだ。
    「どう? ちょうどいい感じになったかい?」
    「う、うっさい、ばかっ!」
     ひどく子どもじみた憎まれ口――けれどもそれは、照れているときにいつもきまって彼女が吐き出す常套句。
     読み通りの反応がたまらなく可愛くて、俺はもう一度、サンセットの色に染まるミオリネの唇をキスでふさいだ。
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    あもり

    DONEシャディミオの年少期の幻覚話です。12話前、公式が何も出さないので、幻覚が熱を持ったので書きました。
    シャディクが孤児院に拾われる前は、雪国で過ごしていた幻覚設定があります。
    シャディミオ、というかシャディク+ミオリネみたいな雰囲気ですがシャディミオです。
    幻雪「シャディク、あんた雪って見たことある?」
     薄ら寒い大人たちの挨拶の猛攻を上手く抜け出し、外の廊下を歩いていた時のことだった。久しぶりにパーティで出会ったミオリネは少しだけ背が伸びていて、背中に流れた髪の毛が歩くたびに揺れている。前を歩く彼女が視線を向けた先は、無駄に大きい窓の外は無機質な鉄の要塞、時折常夜灯が点滅するのが見えるだけだ。夢見る天然資源は何ひとつ映っていない。

    「映像だけなら」
    「そう」
     彼女がわずかに肩を落とした。意地を張る癖のある幼馴染にしては、珍しいほど分かりやすい仕草だ。
    「……何かあったの、ミオリネ」
    「うるさい」
    「俺は君の質問に答えたよ」
     質問にちゃんと答えなさいよ、と先日の喧嘩で目の前の彼女から貰った言葉をそのまま返す。ミオリネも思い出したのか、ぴたと足を止める。意地が悪いのはお互い様だ。ただ、今日は随分と踏み込みすぎてしまったらしい。
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