忘れたって何度でも 展示物毒入りチョコレート事件
「そういえばさ、ミスラってやっぱり、オーエンと付き合いが長いのか?」
なぜだか、ミスラとふたりでお茶をしている。午後には特に決まった予定がない日だったので、誰かいないかと談話室へ向かうと、同じく暇を持て余した、髪の色が微妙に揃いの男がいた、という経緯で。誰か長寿の魔法使いがいたならば止められたのかもしれないが、賢者様の魔法使いとして、親睦を深めておいて悪いことはないだろうと、ふたりで庭にテーブルとティーセットを用意した。
突然襲われやしないかと少し身構えたままではあるものの、適当に焼き菓子をつまんで紅茶を飲み、という、今のところは至って普通のお茶会だった。
「はぁ。まあそれなりに長いんじゃないですか。いつ出会ったかとかは覚えていませんけど。彼も、昔のことはあまり覚えていないようですし」
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