ふわ甘とほろ苦の融合さてと、今日のデザートは久しぶりにケーキでも買おうかな。
ネットスーパーの画面を開きテナントにあるフミヤをポチッと押した。出てきたケーキがズラリと並んで、これだけでもウキウキ気分でテンションも上がる。
みんなにはいつものケーキとまだ食べさせてないのもを数個購入。そして俺はお気に入りの抹茶ケーキ。
「このほろ苦さはまた食べたくなるんだよなぁ」
次は別のを、って思っててもいざ選ぶとなると同じのを選んじゃう。
大きなダンボールが現れて中の箱を慎重に出す。それに気付いた従魔たちはさっそく俺の肩や頭に乗ってきて覗き込んだ。
『主、それってケーキかっ』
「そうだよ。また食べたくなって」
『やった〜!スイ、ケーキ大好き♡』
『俺も好きだぜ!あの甘くてふわふわが最高だった』
「我の分は多めに寄越せ」
「平等に決まってんだろ。食べ過ぎると太るぞ」
「ギクッ、わ、我は太らん!」
「なにどもってんの。いいからおすわりして待ってろ」
「犬扱いするな」
俺が切り分けるまでちゃんと大人しくしててくれた。全部切り分けてそれぞれの皿に盛り付ける。うんうん、見た目もいいな。
「はいどうぞ」
三つの口が同時にケーキにかぶりつく。みんなして口には生クリームやチョコクリーム、スポンジが付いた。
「そんな慌てて食べなくてもケーキは逃げないぞ」
『うめぇんだから無理だって。この木の実も甘くってトロトロだ!!』
「ミックスベリーのケーキね。甘酸っぱくて生クリームと合うんだよ」
『あるじー、これハンバーグの中に入ってたのと同じ味する』
「よく分かったね。これはチーズケーキって言って、こっちのがより濃厚だろ」
俺もそろそろ自分のを頂きますか。俺が選んだ抹茶ケーキ、西の高級抹茶を贅沢に使ってあるため食べる前からいい香りがしてくる。
「むぐむぐ……やっぱり美味い♡」
食べるともっと抹茶の味がして、甘さ控えめ、でも食べるとスポンジの優しい甘みがバランス良く口の中でほどけていく。
「またお主は草のようなケーキか」
「抹茶ケーキ!これも美味いんだぞ」
「ふむ…お主が何度も食うというから余程美味いのか。我にも食わせろ」
「え、でも俺用のしか買ってないし…」
追加するとスイたちもおかわりするからなぁ、と迷っているとフェルの舌がペロッと俺の口を舐めた。
「へ…??」
「うん、確かに甘みは少ない。が、これはこれで美味いな」
今、フェルはどこを舐めた?一瞬の事で理解が遅れる。
「なんだ固まって。腹でも下したか?」
「…フェル…今、舐め…」
「お主の口に付いていたからな」
フェルはペロッと自分の口元に付いた生クリームを舐め取る。そして俺の方を見て微笑んだ。
「お主と我のを混ぜるとより美味くなるな」
意味深な言い方に俺は過剰に反応してしまい耳まで赤くなった。そんな俺を見て、したり顔のフェルは満足して木陰に行ってしまう。
フェルに舐められたとこはまだ感触が残っていて、自分の舌でこっそりと舐めた。
END