honey,bunny「……」
「それが、ばにーとやらか」
「なんで俺が着る羽目に」
「我が選んだからな」
「くそ~こんなの似合わないのに」
「そうでもないぞ。小動物のような格好は、お主らしくて似合っている」
「全っ然嬉しくない」
「それにだ。露出もいつもよりある上にお主の身体を堪能しやすい」
「堪能って…見世物じゃないぞ。いや、見世物か」
一人で突っ込んでみたけど虚しいだけだった。よりによってバニーとは。ネットスーパーで何故かセールしてたコスプレ衣装に目が止まり、元の世界でもコスプレイヤーの人たちが着てたなぁと思い出していると、たまたま寄ってきたフェルも見て「これを着てみろ」と言われて勝手に注文された。
しかもだ、普通のバニーじゃなくて逆バニーとかいう大事な部分を一切隠してないやつ。
「ていうか、なんで男の俺のサイズが合うんだ」
「華奢だからではないか」
「否定出来ないのが悔しい…」
「しかし、人間のメスのような細さとは違うぞ。腹の辺りは細いが固いし、それなりに割れている」
「まぁ、ちょっとは筋トレみたいなのしてるからな」
「鍛錬は良い事だ。やって損はなく、見た目もより我の好みだ」
「フェルのためじゃないんだけど…」
というのは半分嘘で、ちょっとでもフェルと対等でいたいからこっそり鍛えてる。とは本人に絶対言わない。
「もういい?着てるだけでとんだ羞恥プレイなんだけど。これで外出たら社会的に終わりだ」
「こんな姿、他の人間共に見せてたまるか」
「主人がこんな格好で恥ずかしいからか?」
「我の番いがこんな愛らしいからに決まっている」
愛らしい、と言われて不覚にも胸がキュンと高鳴ってしまった。フェルは俺に嘘をつかないしいつだって直球にものを言う。
俺を見る視線は熱くなっているし、上から下まで見られていると変にドキドキしてきた。
「愛らしいって…どこがだよ」
「全てだ。この身体、顔、声。我が選んだ番いは完璧だ」
「っ!?…恥ずかしいって」
そんな優しそうな低音で言うなって。さっきより胸の動悸がおかしくなって汗まで出てきた。
「この匂いもそうだ。我を想い、初々しい反応を見せながら発情し、甘く濃い匂いを発する」
「っフェル…な、なんか今日は饒舌だね」
「そうか?いつも通りだが」
「い、いつもはこうじゃないだろっ」
「ふむ、それはお主のこの格好のせいかもしれぬ」
とん、と前足で押されて俺は簡単に押し倒された。ベッドの軋む音がしてフェルに見下ろされる。何度も身体を重ねてるからすぐ分かった。フェルも、発情している。
「上から見る眺めは最高だな。頭に付けている耳が少し垂れてより可愛さを増した」
うさ耳カチューシャは枕で少しズレたのをフェルは気に入ったようで、まるで獲物を狙う捕食者のように舌なめずりまでしてきた。
「お、俺を食っても美味くないぞ…」
よくある、食べられるのを恐れて最後の足掻きで使われるセリフを思わず言ってしまった。
フェルはクスリと軽く笑った。
「お主の味は蜜のように甘く極上だ。それを知っているのは我だけだ」
耳元で囁かれる声にブルリと身体中が震えた。途端に力も抜けて無防備になった口にフェルの舌がにゅるっと挿入ってきた。
「…ん、んぅ…ふ…っぁ…」
大きな舌はゆっくりと奥まで挿入りこんでくる。俺のなんて全然動かせないし息も満足にさせてくれない。
「ん、ふぅ…んうぅ、っふ…」
でも、それが一番フェルを感じられて俺が気持ちよくなっていくのを知ってる。唾液をたっぷり染み込ませて、飲ませて、フェルの事しか考えられない脳みそと身体に変換されていく。
「ん"、んっ、はっ、あ…ふぇる…」
「ふむ、表情も我の好みになったな」
抜き出された舌先に銀色の糸が繋いでいたが、ぷちんと切れて俺の口元に落ちた。
「…あ…フェル…」
「浮き出た突起物はいくつもあるが、まずはどこから触れて欲しい?」
フェルのキスで至る所が勃起しちゃった。キスだけで勃つなんて、うさぎが万年発情期を体現してんじゃんか。しかも今日は全部フェルに見られてる。
「……」
「今日は特別だ。お主の好きなところを時間をかけて愛してやろう」
「特別…」
いつもと同じのようだけだ、特別って言葉だけで背中から甘い痺れが流れる。フェルに愛されるならどんな行為だって嬉しくなるはず。
「俺の、身体…舐めて」
「どこを舐めたらいい?」
「…全部……全部、フェルに舐められたい」
「愛しているぞ。我が番い」
この日はフェルにたっぷり愛された後、抜かずの三発をされて美味しく頂かれました。
END