教室のミクカイ(没)
女の子になっちゃったカイト
「カイト兄〜ここかな?……いないかあ」
今日はみんなでいっちーたちから借りたCD視聴会しようって言ったのに、カイト兄だけがいつまで経っても現れなかった。忘れてるのかな?って思ったけど、流石に一人だけ抜きで始めるのは可哀想だからってみんなで探し回ってるのにちっとも見つからない。ギターの音も聞こえないから、めぼしいとこを潰した後は見当もつけられないでいる。もう、カイト兄は隠れる才能がありすぎるよ。
「あれ?ミクぴょんだ」
リンは作業のように教室の扉を開いて閉めてを繰り返していたら、いつの間にか捜索担当の範囲を超えていたらしい。しかし、やっほー!とリンが駆け寄っても、ミクは教室の開いた扉前で棒立ちのままだ動かない。
「ミクぴょん?中に何か……あ!カイト兄じゃん!」
めっちゃ探したんだよ〜とリンが教室に入ろうとするとミクが無言でその腕を引く。教室の中ではなぜか床に座り込んでいたカイトもそそくさと窓の方へ這い寄ってしまった。
「なに!?何で逃げるの!?てかミクぴょんも、どうしたの?」
「…………」
「あ、あの……うぅ」
「えーん!状況の把握ができない!」
というか何でミクぴょんさっきから無言で無表情なの!?こわいよ!
いつも通り吃ってしまうカイトに何も喋ってくれないミクを前にしてリンは何が起こっているのかわからなかった。ただありがたいことにミクに掴まれていた腕の力が緩んだので、今だと教室に飛び込む。
「えい!」
「あっリン!!」
黙り込んでいたミクがやっと喋ったと思ったらリンの後を必死の形相で追いかけてくる。なんで!?と焦り走るリンだったが、やっと見つけたカイトの元へ近づいていくうちにだんだんとスピードを落として先ほどのミク同様黙り込むこととなった。
「リン!!」
「あ、あの……あんまり……」
「…………?」
「ちょっとリン!急にはしらなっ」
「え〜〜!?カイト兄が女の子になってる!?!?」
おそらくセカイ中に響いたと思われるリンの驚き声はすぐ近くにいた二人の耳を盛大に震わせてしばらく動けなくさせた。その間に、別の場所を探していたみんながリンの声を頼りに集まってくる。
「リンってばそんな大声出してどうしたの?」
「カイトいたのか?」
「それにしては随分と驚いてるみたいだったけど」
ゾロゾロと集まってきたみんなにリンはパタパタと腕を振り回し全身で焦り出す。その横でミクも焦って冷や汗を流す。
「うわあ!みんな来ちゃった!」
「なによミク、来たらダメなわけ?」
「いやダメなわけじゃ、ないんだけど」
教室に入ろうとする三人を止めようと扉の前に駆け寄ってももう遅い。さっさと横をすり抜けていったレンが怪しい動きで黙り込んでいるリンにスタスタ近寄る。
「リン?さっきから黙ってどうしたんだ?」
目を丸くさせて言葉の出ないリンに向かって首を捻るレンは、とうとうリンの視線の先にいるカイトに気づいてしまった。
「え!?カイトが女の子になってる!?!?」
「うぅ……さっきも聞いた……」
カイトの誰にも聞こえない小さなうめきはレンの驚く声の反響にかき消された。案の定、続々と後ろからメイコやルカ、さらに落ち着きを取り戻したリンもカイトを囲み出す。
↓以下書きたいとこだけ会話文
「いや私は、かっかわいいと思う」
「……そう」
「えっ何で落ち込むの?」
「だ、だって、あんまり嬉しく、ない…かも……」
「ほめてるのに!」
「俺、女の子の方がいい?」
「え?」
「お、女の子の方が、ミクは俺のこと好きなの?」
「なに言ってるの!私はカイトならどんな姿でも好きだよ!」
「でも、ちょっと戻るのは惜しいかも」
「えっそんな」
「ごめん!うそ!いや嘘ではないけど!だってかわいいんだもんいいじゃない!」
「逆ギレしてるぞ」
「レンだってそう思うでしょ!この姿のカイトも目に焼き付けておきたいじゃん!」
「たしかに」
「あたしも女の子のカイト兄で色々試したい!」
「そ、それはダメ!」
「えーなんでよ」
「カイトは私のだから!」