新居「新居?」
「ああ。ナイルが、ウォールローゼの東に新しく家を構えたそうだ。先程手紙が届いた」
執務机でペンを走らせているエルヴィンはそう答え、ソファに座り、届いたばかりの手紙を眺めているリヴァイはチッと舌打ちをした。
「あの薄ら髭にそんな甲斐性があったとはな」
「はは。いつか挨拶に行ければいいんだが」
「別に必要ねぇだろ」
面倒な顔をして手紙を机に放ると、リヴァイは自分の執務に取り掛かり始める。
暫くはカリカリと互いの筆の音だけが聞こえていたが、ふと、エルヴィンが呟いた。
「リヴァイなら、新居はどこにする」
「あ?」
突拍子もない言葉に眉をひそめ顔を上げるが、エルヴィンは書類に目を向けたまま手を動かし続けている。いつもの眠気防止のくだらない雑談かと、リヴァイも書類へ目を戻して答えた。
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