ふたり暮らし/花主「バイト先の後輩を家まで送るから少し遅くなる」
「お疲れさん!なら飯俺が作っとくか?大したもんは作れねーけど」
「ありがとう、作ってもらえると助かる」
「了解!」
陽介は自分の返信で区切りのついたラインのトーク画面をスワイプで消して、そのままスマホの電源ボタンを押した。いつもなら親友であり同居人である悠が夕飯を作るのだが、今日は陽介が臨時の食事当番だ。時刻は夜の七時過ぎ、窓の外の雨脚は夕方から段階的に強くなるばかりだった。陽介はたまたまアルバイトが早上がりになったため、予報を大幅に裏切って突然降り出した大雨を避けて帰宅することができたが、悠の方はそうもいかなかったらしい。おまけに天性のお人好しまで発動してしまったらしく、それじゃあ確かに帰りは相当遅くなるぞ、と陽介は苦笑した。
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