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    moco_i7_Revale

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    moco_i7_Revale

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    WDガシャ前なので、100%捏造のリーマンパロ
    キスシーンのみあります

    #ユキモモ
    #アイドリッシュセ腐ン
    idyllicSeason
    #千百
    aThousandAndOne
    #二次創作
    secondaryCreation

    シュガーKiss まだ、胸がドキドキしてる。静まり返った会議室。何を口にしたかも、どう説明したかも、緊張でうろ覚えだけど、オレのプレゼンが通った事だけは夢じゃない。
    全員が退室しても、初めての仕事の成果に、興奮冷めやらずで動けずにいた。
    「春原くん、おめでとう」
     不意に後ろから声をかけられたのと、頬にピタッと冷たいものが当たった刺激に、情けなくひゃっと声をあげてしまった。
    「お、折笠さん!」
     そこには、同じ部署の折笠さんが缶コーヒーを持って立っていた。オレがそれを受け取ると、隣に座り、コーヒーに口をつけた。
     スリーピースのスーツ。髪色や長さに規定のない会社ならではの長い銀糸の髪。缶コーヒーでさえ、高級珈琲店のそれに見えるほどのイケメン。社内の女性社員が、迂闊に声をかけられない程の、高嶺の花。組んだ脚の長さには同性のオレでさえ、見惚れてしまう。
    「今は、二人だけなんだから、名前で呼んでよ、モモ」
    「…ユキさんだって、苗字で呼んだじゃないですか」
    「あれ、そうだっけ?」
     高嶺の花とこんな風に、名前で呼び合える関係。会社の先輩後輩でありながら、もちろん友達なんて関係じゃない。それより、もっと近しい関係。
     オレは、折笠千斗、……ユキさんといわゆる恋人と呼べる関係にいる。
     元々、大学の先輩後輩の関係性だったオレ達は、それぞれ違う企業に就職したのだけれど、まぁオレが勤めたところがはっきり言って黒も黒、とてつもないブラック企業で、メンタルぼろぼろ、どうしようもないところまで来ていたのをユキさんが引き抜いて助けてくれたのがきっかけだった。大学時代から、ユキさんに淡い気持ちを抱いていたのに、『大切なモモがボロボロになっているのをこれ以上見ていられない』なんて告白されたら、オレは頷くしかなかった。
     ユキさんのイケメンっぷりはわかっていたけど、だけど、まさか社内でこんなにモテているなんて思いもせず、オレたちが親密な関係だという事はユキさんにお願いしてひた隠しにしてもらっている。
    「それにしても、今回の企画案、良かったよ」
     オレが所属しているのは、企業からオファーを受けて広告やイベントを企画する部署で、今回はホワイトデーをメインにしたものだった。製菓メーカーがバレンタインのお返しに、キャンディを贈る広告をという社内コンペでオレを含め、何名かが立案した。それが今回、見事にオレの案が採用されたのだ。
    「前に残業してる時に、ユキさんが差し入れに飴をくれてことを思い出して」
     会社の後輩や先輩から、ドキドキしちゃいそうな特別なキャンディの差し入れ。そこにホワイトデーのお返しを含ませて、女性がキュンとしそうなシチュエーション。普段、気持ちを素直に伝えられない男性も気軽に贈りやすいシチュエーション。それが上層部の好印象を受けて、決まった形だった。
    「ユキさん、知ってました?」
     そういえば、ポケットに飴が入っていたことを思い出して、ユキさんの前に差し出す。
    「キャンディって、あなたの事が好きとか、かたくて長く口の中で残っていられるから、関係が長続きするとか壊れないって意味があるって。オレ、今回調べて初めて知ったんですよ」
     コーヒーのお返しに渡すと、ユキさんは快く受け取ってくれた。飲んでいた缶を下ろすと、ユキさんはさっそく飴を口に含んで、ころころと転がしながらにっこりする。
    「そうね、意味は知らなかったけど、これがモモの気持ちってことは素直に嬉しいね」
     あえて言わなくてもいいのに、口にされたことでオレの顔が熱くなる。たぶん、間違いなく赤くなってるだろう。意識したことで急激に恥ずかしくなって、渡されたコーヒーに口をつけようと手をかけたところで、ユキさんにそれを静止させられた。
    「……んっ!」
     そのまま手を引かれ、ユキさんの薄い唇がオレのそれを塞ぐ。ちゅっちゅと啄んだ後、すぐに舌でつつかれ、口を開くと少し小さくなった飴と舌が滑り込んでくる。お互いの舌が口内で飴を転がし、甘い唾液が絡んだ。
    「ん、……ぁ、ゆ、ユキさ…っ」
     後頭部を撫でられ、耳を撫でられ、甘いキスの気持ち良さにに思考が溶ける。熱い口内で、たぶん普段より溶けるのが早かったのか、飴がなくなったのを合図に、名残惜しそうにちゅっと音を立てて離れた。ぺろりと口の端を舐める姿に、くらくらする。
    「うーん、飴一個だとこれくらいか。モモとはずっと長続きしたいから、飴がいくらあっても足りないね」
     目の前のイケメンは、妖艶な笑みを浮かべてオレの頭を撫でた。その様子に、オレは顔を覆う。
    「オレの心臓が持ちません……」
     ふふっとユキさんは笑いながら立ち上がり、『僕は先に戻るけど、モモは少し落ち着いてから戻ってね』と扉に手をかけた。腑に落ちないオレに、ユキさんは『今、モモ、すごくえろい顔してるから』と付け加えた。
    「え、あ、うそ」
     慌てて、緩んだ頬を摘む。
    「ふふっ、じゃ、また今夜ね、春原くん」
     可愛いものでも見るように表情を綻ばせたあと、軽く手を振りユキさんは会議室を後にした。残されたオレは熱くなった顔を包み、今夜、ユキさんの家を訪ねる約束を思い出す。口内に残るモモ味の甘さが、さっきのキスを思い出させて、オレの顔はさらに熱を増した。
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