片思い片思いを、している。その片思いの相手である恭二は、眠そうに一つ欠伸をした。それがもう一人のユニットメンバーであるみのりと同時だったから、なんとなくピンときてしまった。
「恭二、みのり、眠そう。……ミッカイ、した?」
「ピエール、その言い方は語弊があるって言っただろ……」
「そうだよ!恭二、密会したよね〜!」
ミッカイ、したんだ。いいな。と思ってしまう。ボクが大人になったらしてくれるとは言っていたけど、大人になるまであと何年も待たなければいけない。ふと、疑問が過ぎる。二人はどんなことをしているのだろう。楽しいことなんだろうとは思うけど。
「ミッカイ、何するの?」
「うーん、恋バナとか?」
「みのりさん」
咎めるような恭二は、それでも否定しない。コイバナもミッカイもよくわからない。それでも、恭二と過ごす楽しい時間が増えると思うと羨ましく思ってしまう気持ちもある。
「……ボク、早く、ミッカイとコイバナ、したい!」
恭二にぎゅうと抱きつけば、自分の心音がドキドキと体内で響く。自分から抱きついて、必死で平静を装っているなんておかしい。きっと恭二はいつものこととなんとも思っていないだろうに。恭二がずっと黙ったままだったから、もしかして、気づかれてしまっただろうか、そう思って、少し高いところにある顔を覗き込めば、その頬は真っ赤で。ボクの顔にもその赤さが移ったのか、体が熱くなる。みのりだけがにこにこしている。ボクは初めて、もしかして片思いじゃないのかも、という気がしていた。