瑠海様の話僕の家は瀬織津姫を祀っていてね、代々その恩恵を受けさせて頂いてる家なんだけど…まぁ、世の中タダなものは無いって話だよ。

この學園では神様に見初められた人間や妖がそれなりに居るよね、皆幸せそうでとてもいい事だと思うよ。

でも、そうじゃないのもいるんだよ。

僕はね、生まれながらにして神の寵愛を受けている子として育てられたんだ。

なんで寵愛を受けてるのがわかるかって？ほら僕の目って瑠璃色と珊瑚色が混ざった変な目をしてるでしょ、それが証なんだって。

その生まれた子は霊力に恵まれ、家に繁栄をもたらすと言われているけどそれと引き換えに生まれつき体が弱く短命な者が多いんだ。

…本当、クソみたいな話だよ。

俺はそれでかなり苦労してるって言うのに、神(アレ)の趣味でこうなってんだから…

この体はね、思ってる以上に弱いんだ。

基本僕は式神の背に乗って移動してるけど、あぁでもしないと酷い貧血でしょっちゅう立ちくらみを起こしちゃってね、激しい運動は勿論出来ないし酷い時は倒れることだってある。

どう改善しようとしてもこればっかりはどうにもならないんだ、戦う方法だって弓以外僕には選択肢がなかったのさ。

家の奴らはそんな姿を見ても勝手な事ばっか言ってくる連中でさ…笑えるよね、息子が苦しむ度に「やっぱりこの子は神に愛された子なんだわ」…って、親の台詞じゃないでしょ。

僕の家はかなり大きい方で…従者の家系がいるくらいだからね、僕にも勿論いるよ。

彼らは無条件で僕の為に命を尽くすことを義務付けられている、最優先は僕で何かあれば自分を犠牲にしろと父さんから命令されててね…馬鹿みたいな話でしょ？

僕はそれが嫌だから僕に付く人達にはそういう事はするなって言ってある、僕は他人の命を犠牲にしてまで助かりたいとは思わない…誰かの屍の上で生き永らえるなんて真っ平御免だよ。

…最近来た高等部の2年生の女の子…彼女は僕より根深くてもっと酷い事をされていただろうけど、同じだなって思ったよ。

神なんて基本自分勝手な存在でしかないし、こちらの尺度で測るなんて本来出来ないことをだからね。

生涯あの女の好きなようにされる…と思ってたけど、そうも言ってられなくなったからね。

大事な人が出来た以上長生きできないなんて言ってられないし、いつまでも他の女に唾つけられたままですなんて言えないでしょ？

…というか、僕が自分でなんとかしないと彼女乗り込んじゃいそうだし…僕の前では猫被ってるけど本来苛烈そうだし…

話が通じるとは正直思ってないけどね〜。

でも、生きようって思ったから頑張るよ。

どんな俺でも好きなんて言った酔狂な奴はあいつだけだしな、あんな良い女一人にするなんて勿体ないこと出来ねぇだろ？