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    r_i_wri

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    r_i_wri

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    喧嘩類司になるはずのものの下書き?喧嘩どころか告白しているところまでしか書けなかったので、現時点でただの甘い類司です。

     通学路を一人歩いていれば、少し前にちらりと蒲公英色の頭が見えた。運がいい。今朝完成したばかりの舞台装置の設計図は昼に見せようと思っていたけれど、今見せてしまおう。そして司から意見ややりたいことを聞いて、昼までに調整をすればいい。
    「司くん」
     足取り軽く司の隣に走り寄って、声をかけた。が、すぐに少し後悔した。
    (またか)
     類の声で振り返った司の顔は、いつも通りぱあと明るく笑っていて。なのに、類の顔を見た途端にぎゅうとしかめっ面に変わる。
     次に来る言葉だって、もうわかっていた。
    「類、お前また徹夜したな?」
    「まあまあ。それより、新しい装置の設計図ができてね。きみの意見を……」
    「まあまあ、ではなーいっ! 何度言えばわかる、ちゃんと休め! 寝ろ! 大体お前はいつもそうやって……」
     延々と続く司の叱責に、はぁとばれないようにため息をつく。結局設計図を見せるのは昼になりそうだ。
    (きみの笑顔が見たいだけなのに)
     なんでうまくいかないんだろう。

    ***

     始めのころは、こうじゃなかった。類の持ってきた演出案に、設計図に、ロボットや舞台装置の数々に、司はきらきらと目を輝かせてあれはなんだ、これはどうやって使うんだと興味深々に類に尋ねてきた。そんな司に一つ一つ説明をしては今後のショーについて話す時間がとても楽しくて。だから次々にたくさんの案を生み出した。そうしているうちに、ショー一色だったはずの自分の思考に、ちらほらと司の顔が浮かぶようになっていることに気が付いた。
     すごいな、と目を輝かせる司。これはどう使うんだ?と眉を寄せる司。また無茶なものを、と顔を引きつらせる司。そして、流石はオレたちの演出家だ!と何よりも明るい一等星の笑顔で笑う司。
     気が付いてからは早かった。というか、衝動的に動いていた。体が勝手に動く、なんて本当にあるんだな、とどこか他人事のように思いながら屋上を飛び出して、階段を二段飛ばしで駆け下りた。授業中の静かな廊下を駆けて、そうして2-Aの廊下窓を勢いよく開ける。
     突然のことにぽかんとしている教師生徒の顔など目に入らなかったが、廊下側の席、窓を開けた類の目の前で茫然と口を開けている司だけはその髪の先がくるりと跳ね気味なことまでよく見えた。今日は寝癖が手強かったのかな。
    「る、類、お前なにを」
    「司くん、僕、きみのことが好きみたいだ!」
     教室中に響いた類の声に、周りが一気にざわつく。そんな周囲と裏腹に、司はぱくぱくと口を開閉するばかりで。じんわり赤くなっていく顔と相まって初めて見る姿に、あ、そんな顔も可愛いんだなと新しい発見をした。
    「え……」
    「え?」
    「演出家ならもっとムードでも作れ馬鹿類~~~っ!!!!」
     耳を劈く120㏈は教室どころか学校中に響き渡る。気になるのそこなんだ、とかそれもそうだな、とか。それって、OKってこと?とか。いろんな思いが渦巻きながら、やっぱり口に出すより先に身体が動いて、熱く火照った司の身体を抱きしめた。

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