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    pqmgta_

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    オメガバース世界線、α日和×α茨です
    キャラクターが殺害をします。モブが死にます。
    細かいところはファンタジーなので許してください。
    オチもないです。

    運命の行方火葬炉に吸い込まれていく白い箱を眺めていた。
    ここには遺族も親族もいない、生涯孤独だったと思う。
    この人となら上手くやっていけそうだったのにな、なんて手遅れな願いだ。
    施錠された扉の向こうで焼かれているだろうそれを少し眺めてから断熱扉に背を向けた。


    「始まった?」

    「はい、今から2時間ほどでしょうか」

    「残った遺骨はどうするの?」

    「焼き切りを願いたかったのですができないと言われてしまったので、残るのであればペンダントにでもしようかと思っております」

    「へぇ、少し妬いちゃうかも」

    「もし殿下が亡くなった時はそうしてさしあげますよ」

    「え〜?まるでぼくが死ぬみたいな言い方やめてよね!悪い日和!」


     待機室。今は2人。
    もうしばらくはここに訪れはしないだろうが。
    死んだあの人は所謂、運命の番というものだった。
    しかし、七種茨にはすでに長い時間をかけて巴日和と付き合うことを認めていた。
    そんな中仕事の都合で1人で遠出をした時にたまたま出会い、自分のものにしたいという思いが止められなかった。
    初対面、いくらお互い運命の番だと認識したところで簡単にいくわけもなく、お互いゆっくりと話し合い、少しずつ仲を深めていった。
    当然それは日和にも逐一報告されていたし、その人と一緒にいたいなら仕方がないし別れてもいいと茨は切り出されていた。
    もちろんその場で答えることができず、ずるずると引き延ばしたが。

     運命の番というものは驚異的だった。
    本能は理性を抑え、ヒートに合わせてラットになり、自分の腕を血が出るほどに噛んでも止められなかった。
    身体の熱が上がり、目の前のΩしか見えなくなり、首輪を破壊して噛みついた。
    何度も何度も話し合って決めたというのに結果はこのザマだったわけだ。
    首輪を強引に破壊したためにアザになってしまったし、気の優しい相手は自ら作った自分の腕の怪我をみて『仕方ない』と許してくれた。
    日和にも『なってしまったものだからしっかり考えるんだね』と言われてしまって、自分自身そうはならないだろうという少しの過信をしていたのもあってかなりパニックになっていた。
    どうしたらいいか必死に調べ、恥ずかしいとも思いつつ、いずれ話さなければならないことだとジュンや凪砂に相談した。
    全て包み隠さず話せば理解をして、彼らなりのアドバイスもたくさんもらった。
    それを考慮し、何度もまた話し合った。
    茨は出会って半年に満たない運命の相手と出会って何年も経つ、付き合って1年の日和を天秤に何度もかけた。
    そして、その相手をパートナーとして役所に提出した上で数ヶ月後毒をもって殺した。

     ここまで1年、この計画のことは誰にも話していない。
    この火葬場もツテを使って契約した場所で、提出した死亡届の死亡理由も取ってつけたようなものだ。
    相手は天涯孤独だった。
    正確に言えば本人のせいではないような要因で絶縁されていた。
    訃報の連絡も調べた限りでしたが誰からも返事はもらえなかった。
    運命の番、1年の縁、すこしだけ虚しいなと思った。
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