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    @fp72nh

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    FE💍フォガパン ディアアル
    🦄オバ アレオシュ

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    フォガパン←赤リュ♂
    フォガからの愛の告白に返事をしてないまま、事故で千年前の世界に1人飛ばされて死にかけたパンを赤リュが救う話。首絞められてるので注意。まだリュパン気味

    #リュパン
    #フォガパン

    紅い雪幻2リュールが小屋から出て行ってから、体力を消耗していたのか随分と眠ってしまっていた様だった。
    また外は吹雪いてきてその風の音と肌寒さにブルっと震えながらパンドロは目を覚ました。
    リュールが小屋の中を漁って見つけてきてくれた毛布を3枚かけていたがそれでも冷えるものは冷える。
    砂漠の多い国で生まれ育ったパンドロにとっては照りつける太陽と暑さには充分慣れているが、この寒さと雪が降り積もって行く静けさにはどうしても慣れる事は出来ない。ましてや未だに毛布の下は何も纏っていない状態なのだ。

    パンドロは横になっていた寝台から降りると冷え切った指先を擦り合わせながら古ぼけた暖炉のそばに干してある衣服が乾いたか触れてみた。
    長い時間をかけてやっと乾いた衣服を手に取りこれでやっと裸のまま毛布に包まった状態とはおさらばだと手を通していくがソラネルでの普段着ではこの雪山では寒さを凌げるわけもなく、結局その上から毛布を掛けて包まると暖かな暖炉の前に腰を下ろして膝を抱える。

    (神竜‥リュール様との話でここがやはり千年前の世界だと言う事はわかった‥けどなんで‥)

    パチパチと乾いた木が燃える音を聞きながらパンドロは今手に入れる事が出来た情報を頭の中で整理する事にした。
    そもそもソラネルに居たはずの自分がこんな所に飛ばされたのはセレスティアの持ってきた石に触れたからだ。
    前に千年前の世界に来た時はセピアの作った魔法具の力によるものだったことを思い出す。
    リュールも異形兵の騒めきと魔力を感じて引き寄せられて来てみたら倒れているパンドロを発見したのだと言っていた。
    恐らく、パンドロ自身の魔力ではなく同じ竜族であるセレスティア、魔竜族の魔力を敏感に感じ取ったのだろう。

    (‥あれは魔法具だったのか)

    どう考えてもそれしか説明が付かずに、取り敢えずあの時の石が魔法具だった事にしてそれに触れてしまいその魔法具が発動してしまったのだとすれば触れるだけで飛ばされてしまうなんてどうしてそんな危ない物を作ったのかとパンドロは思わず項垂れた。
    セピアの魔法具で千年前に来た時は時間経過で元の世界へと戻れたから今回も時間経過で戻れるのだろう、そう前向きに希望を持って自分を納得させるしかない

    (フォガート‥心配してるだろうな‥)

    きっと時間が経てばフォガートの元に帰れるのだと思うと、パンドロも早く会いたくて会いたくて堪らなくなった。
    フォガートが渡してくれた指輪はあの日からずっと大切に小さな絹の袋に入れて持ち歩いている。
    その指輪に触れて安心したくてポケットに手を入れてパンドロは思わず固まった。
    慌てて立ち上がり毛布が落ちるのも気にせずに逆のポケットも漁ってから身体中をポンポン叩きながら段々と顔を青ざめさせる。

    「――指輪が無い‥」

    フォガートに貰った大切な指輪が無くなっている。
    確かに朝カフェテラスに行く時に大切にポケットに入れたはずだ。
    セレスティアの魔法具を受け止める時に激しく動いたからその時に落としたのか
    そう考えてパンドロは首を振る
    違う、意識は朦朧としていたが雪の中を歩きながら生きる事の励みにする為に何度かポケットの上からその指輪に触れていた。
    そうなると、雪の中倒れた時に落としたのか異形兵に持っていかれてしまったのか‥
    今すぐに探しに外に飛び出したい衝動をパンドロは懸命に抑え込む。
    外は吹雪だ、折角命が助かったのにまた危険な目に合いにいくなんて馬鹿げている。
    そんな事は頭では理解出来ているのに指輪を渡して来た時のフォガートの姿が脳裏に蘇ってしまう

    幼い頃父親と旅をしている時に見つけてその出来の良さを一目で気に入ったフォガートに、それをいつか大切な人が出来た時に贈ればいいとフォガートの父親が買って持たせてくれた思い出の詰まった大切な指輪なのだとはにかみながら言っていた。
    パンドロに出会ってからずっとパンドロに渡す事を考えて、似合うものにしたくて少しずつフォガート自身が手を加え宝石を磨きその愛が詰め込まれた指輪だからパンドロに持っていてほしいのだと笑っていた。

    その笑顔を思い出して居ても立ってもいられなくなってパンドロは小屋の中をウロウロと歩き回ってから意を決して小屋の引戸へと手をかけた。

    (少しだけ小屋の周りだけ見て、吹雪が止んだら探しにいけば‥)

    このまま元の世界に戻されてしまえばきっとここで無くした指輪は戻ってくる事はないだろう、指輪をこの世界に置いていってしまうことになる。

    ――――そんなのは絶対に嫌だ。

    引戸にかけた手で扉を開こうとし、あまりの扉の軽さに驚いて思わず手を引くと丁度外からも引戸を引いたらしくリュールも驚いて目を見張っていた。

    「――どこへいこうとしていたんですか」

    パンドロがこの小屋から出て行こうとしていたのを察して淡々としているが何処か不機嫌そうな声でリュールは問いかけてくる。
    そのままパンドロの身体を小屋の中へと押し戻して自分も中に入ると戸を閉め、持ってきた荷物を足元に置くと無表情にパンドロを見つめたまま先ほどの問いの答えを待っている様だった。
    大人しくしていれば殺さないと言われていたので、リュールに逃げようとしていたと思われればこの場で切り捨てられる事も有り得るのだとパンドロは思わず息を飲んで、言葉を紡ごうと紅い瞳に視線を交わらせた時
    リュールの真っ赤な髪に雪が積もっているのを見て慌てて手を伸ばしてその雪を払った。
    そんなパンドロの様子を見ながら腰に下げている剣の鞘に片手を添えてリュールは続ける

    「‥なんですか?わたしのしつもんにこたえてください」

    髪に、肩に着いた雪を払いながらリュールの冷え切ったもう片方の手を引いてパンドロは暖炉の前へと連れて行く。

    「答えますけど、こんなに濡れていてはリュール様が風邪を引いてしまいます、まずは貴方の事が先です!」

    目の前で今にも剣を抜こうとしている人物を前に、パンドロは臆する事なくキッパリとそう告げる。
    その姿にリュールは目を見開いて珍しいものでも見るかの様に目の前のパンドロをじっと見つめた。
    気が抜けてしまったのか剣からは手が離されて腕はダラリと下げられていた。

    「オレの為に、わざわざこんな吹雪の中色々持ってきて下さったんですよね?そんな貴方に風邪を引かせる訳にはいきません、まずは暖まって下さい」

    先程まで自分が包まっていた毛布を広げて冷えた背中に回して包みこんでやりながら暖炉の前に座る様にパンドロは促した。
    そして暖炉の火が少し強くなる様に端に積まれていた木をその中に放り込み始めたパンドロの姿を見て、リュールは今持ってきた荷物を入り口まで取りに行ってからパンドロに促されるままに暖炉の前へと腰掛けた。

    「‥‥あなたは、へんなにんげんです‥わたしはあなたにがいをなすかもしれないのにやさしくする」

    寝台の上からもう一枚毛布を持ってきて自分もその毛布に包まりながら隣に腰掛けたパンドロに向かって、小さな声でリュールが呟くと

    「貴方だって、得体の知れないオレを助けて下さったじゃないですか。しかも吹雪の中食料や防寒着を持ってきてくださるなんて、優しすぎます」

    リュールが持ってきた荷の中にはパンドロが食べれそうな食料や防寒着、何処から持ってきたのかパンドロが望んだ回復の杖などが入っていた。
    それをこんなに吹雪いて危険もある中運んできてくれたのだ。

    「わたしは、やさしくなんてありません。あなたがにげるのならわたしはあなたをころさなければならない。あなたをたすけたことがおとうさまにばれればわたしもころされてしまうから」

    淡々とそんな残酷な事を口にするリュールを哀れに感じてしまう。
    千年前のこの時のリュールは父である邪竜ソンブルの忠実な駒だった。ソンブルの命を失敗して欠陥品と呼ばれ始末される事を恐れていた時のリュールだ。
    だから本来ならパンドロを助けるなんて危険な真似をする筈がないのに、それでも死にかけていたパンドロを見捨てる事をしなかった彼の心根はパンドロの知るリュールのままだと信じて、パンドロは口を開いた。

    「‥逃げようとした訳じゃありません‥。オレが持っていた大切な物がなくなってしまって、どうしても探しに行きたかったんです‥」

    「たいせつなもの」

    「‥オレが倒れていた付近に無かったでしょうか‥赤い絹の入れ物に入った、大切な指輪なんです」

    パンドロがそう問いかけた瞬間リュールの雰囲気が一変した。

    感情を感じなかった表情が険しいものへと変わり、パンドロがえっ‥と思った次の瞬間、背中に強い衝撃を受けた。
    あまりの速さに何が起きたのかわからないまま古ぼけた天井が目に入り、強い力で押し倒されたのだと言う事に気付いた。
    パンドロの体の上に乗り上げ見下ろしてくるリュールの紅く冷たい瞳にゾクリと肌が粟立ち、捕食者のような残虐な顔を見せているその姿に本能が警鐘を鳴らす。
    その体の下から逃げなければとパンドロが身体を捩った次の瞬間、リュールの両手が強い力でパンドロの細い首を絞め上げる

    「――っかは‥ッ‥」

    その息苦しさに呻いてパンドロはリュールの手に爪を立ててその手を引き剥がそうとするが、力が強くて叶わない。

    「ゆびわ‥やはりもんしょうしのゆびわをもっていたのですね‥ゆびわはどこですか、あなたはしんりゅうのてのものですか?こたえない」

    その問い掛けにパンドロは緩く首を振って喋れるように微妙に緩められた手の力に気付いて足をばたつかせながらその問いを否定する。

    「ちが‥、知らな‥、普通の指輪‥、大切な人からもらった‥指輪で‥ッ」

    豹変したリュールの様子に、パンドロはまずは兎に角この命を守る事が最優先だと、紋章士の指輪の事は知らないと通す事にした。
    今は紋章士の指輪は持っていないし、無くしてしまったのは本当に関係の無い指輪だったから嘘を貫き通せば切り抜ける事が出来る、そう思ってパンドロは必死にリュールの冷たい瞳を見上げながら言葉を紡いだ。

    「たいせつなひとからもらったゆびわ‥」

    パンドロの言葉を手の力はそのままにリュールが繰り返す。

    「あ‥愛する人から貰った‥指輪‥です‥」

    納得してもらう為にパンドロは視線を合わせたまま懸命に言葉を続けた。
    すると首を締め上げていた手が緩められて首からゆっくりと離れていった。
    突然冷たい空気が喉を通りパンドロは横になったまま激しく咽せてしまう。

    ――取り敢えず助かった
    咳き込み、呼吸を整えながら上に乗ったままのリュールの姿を苦しさのあまり涙の膜が張った瞳で見上げる。

    「あい‥、わたしたちがおとうさまからあたえられなかったものです」

    無表情に戻ったリュールが、何処か寂しそうにそんな風に呟いて多い被さるように鼻先がくっつきそうな程の間近くでパンドロを見下ろしながら穏やかに変わった口調で問いかけてくる。

    「あなたはそのあいを、だれかにささげて、そのひとからゆびわをもらったのですか?」

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