長風呂ぱしゃぱしゃと音を立て、掌でお湯を遊ばせる。
湯船に浸かるのなんていつぶりだろう。
暫くの間はいろいろな予定が立て込んでいたし、なにより自分のためだけに風呂を沸かすなんてことは非常に億劫だったのだ。
しかしこんなに心地よいものだったか。一度浸かると、かえって上がることが嫌になってしまった。
指先はとっくのとうにふやけている。
水遊びにも飽きたが、まだ上がるには惜しい。
そう思い、手を止めて湯船に浸し、身体全体をゆっくりと沈めていった。
湯船の中をピンク色の髪が泳ぎ始める。
留めるべきかと思ったが、改めてそうするのも面倒なので、そのまま揺蕩わせておくことにした。
口まで湯船に浸かったあたりで動きを止め、僅かにゆらめく黄金色の水面を見つめる。
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