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    melrose_E

    えれめんたるの某村に住んでるよ
    HLなうちよそのお話をupするよ。

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    melrose_E

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    うちよそ自己紹介のつもりで書いていたんですが、どちらかというとうちの子が抱える悩みとか、うちよその関係が変わるターニングポイントみたいな話になってしまいましたとさ。

    友情出演にフレンドのお二人。
    快諾いただきありがとうございます!

    わらにもすがるおもいだったのです それはダンジョン探索を終えて、宝箱の中から手に入れた装備品のうち自分では使わないものを黒渦団の軍令部に納品に向かっていた時のことだ。楽しそうな女の子達の声が聞こえてきた。別に聞こうと思っていたわけじゃなくて。彼女達の近くを通ったら聞こえてきてしまっただけ。断じて盗み聞きしたわけじゃない。
    「彼も大事に思っているって言ってもらえたから、私頑張る!」
    「あ、例の占い師? 行ってきたんだ!」
    「そうなの。誕生日しか教えてないのにウソみたいに当たるのよ!」
    「ララフェルの二人組でしょう? 私も行ったわ!」
     占い。相性とかみてもらったのかな。冒険者としての占星術師ではなく。街中でカードを使ったり星の巡りを見たりして運勢を占ったりすることを生業としている人がいるのは知っていた。悩みを聞いてくれることも。でも私みたいに日々の生活にやっとな人間にはちょっと手が出ないお値段なことが多くて。悩んでいることはあっても死ぬような内容ではないのだからと極力考えないようにして過すなどお茶を濁していた。
     身近に相談出来る人がいれば一番良かったのだけれど、残念ながらそんな相手はいない。結局自分と同じ様に冒険者をしている義弟に話すくらいだ。それだって最近は「僕そんな話聞きたくない」ってすげなくされてしまったばかりだ。最近弟が冷たい。悲しい。
     全く私のことを知らない、ルカくんのことも知らない人に相談したら私の中のモヤモヤも少しは晴れるかもしれない。単に吐き出すだけでも気持ちは楽になるし。
     確かビスマルクにいるって話していた……。調理師ギルドがある場所という認識の方が強いのだけれど、たまには客として訪れるのも良いだろう。私は使うことがない装備品を渡してから私はビスマルクへと向かった。勿論、お財布の中身はしっかり確認した。


    「いらっしゃい」
     ビスマルク端にあるテラス席でにこやかに微笑む女性は確かに自分と同じララフェルだった。小さな手、ふっくらした頬。デューンフォーク特有の瞳。それなのに私よりもぐっと大人っぽく見えるのは着ている服のせいだろうか。いや、もう醸し出す雰囲気からして違う。
    「リラックスして。占いと言ってもお喋りしながらみていくからさ」
     爽やかにそう言ったのはプレーンフォークの様な若草色の髪をした男性。でもデューンフォークだ。だって瞳が違う。私みたいに混血なのかもしれない。
    「そう、質問はするけれど楽しくお喋りしましょう。私はナツオ」
    「ぼくはココモル。さて、きみの名前は?」
    「あ、えっとメルル……ううん。メルローズです」
     少し悩んで両親の恩人につけてもらったという本来の名前を名乗りながら、占いってこんな感じだったかしらと首を傾げたくなるのを必死に耐えた。
    「メルローズさん、ううん。メルちゃんでいいかな? よろしくね」
     笑顔に会釈で応えて、私はここ最近抱え込んでいた悩みを二人に打ち明け始めた。
     誰かに順序立ててしっかり説明するなんて初めてのことだからとてもわかりにくかっただろうに二人は時に質問をし、相槌を打ちながら最後まで話を聞いてくれた。
    「そうね、ヴィエラの男性とお付き合いしているとなると不安になる気持ちとってもわかる! まして周囲に同じヴィエラの女性やミコッテの女性がいるなら余計よね」
     ララフェルはある程度成長したらもうほぼ見た目が変わることがない。それ自体は気にしていないし、ルカさんはヴィエラだから長命で。今後はとても緩やかに見た目が老いていくらしいからある意味ちょうど良い。それでも、私の方が先に寿命が尽きるのだけれど。
     そんな、先の心配は実はしていなくて。勿論それだっていつかはちゃんと考えないといけない問題だけど、取り敢えず今はいいのだ。それよりも問題があるのだ。
     ルカさんは私とエターナルバンドすることを、本当に良いと思っているのか。勢いで申し込んでしまったけれど、他にも魅力的な女性は沢山いる。そもそもルカさんは女性よりも男性と縁を結びたかった可能性だって残ってる。
    「ルカさん、とてもかっこいいのですよ。優しくて、冒険者としても優秀で。色々な人が彼を頼りにしている」
     うんうんとナツオさんが頷くのが視界の端に見えた。これまでは文字で綴ったりリンクパール越しに話すだけだったから目の前に聞いてくれる人がいるのは初めてのことで嬉しい。でもちょっと恥ずかしい。
    「メルちゃんは本当に彼が大事で大切で、一番になっちゃったのね」
     改めて自分で声に出して。そしてこうして第三者に言われてようやく自分の中で納得ができた。そもそも親切な人だった、ただただいい人だと思っていた人だっただけのルカさんにエターナルバンドを申し込んだ時にはもう私の心の中でルカさんは他の人とは違う場所にいたんだろう。だからこそ申し込んだ。あの場の勢いはあったのはもちろんだけれど。きっとあの場に他の誰がいたとしても申し込まなかったに違いない。
     それでも、エターナルバンドの申し込みをして。二人でエオルゼアに点在する秘石を巡った時はまだそこまでの気持ちはなかったと思う。二人で普段は行かない場所をチョコボに乗ってゆっくり巡ったあの時が自分の中の気持ちを育むきっかけになったことは間違いない。明らかにあの巡礼の前と後で自分の中で気持ちが変わっていると思うから。
     まさかその前からルカさんのことを特別に感じていたとは思ってもみなかったけれど。
    「まずはメルちゃんのその気持ちを彼に正直に話してみるのはどうかしら」
    「正直に……?」
    「そう。誰よりも好きだということも、今不安に思っていることも全部」
    「でも、ルカさん忙しいから……」
     私には近づくことも出来ないダンジョンの探索に行ったり、国の偉い人に頼まれてあちこちを飛び回ったりしている、はず。詳しくは機密事項だからもちろん私が知るわけがない。ただ出掛けて数か月戻らないことがあったりするくらいなのだから大変なお仕事を頼まれているということだ。そんなルカさんの大事な休息時間を私なんかと話すことで潰してしまうのは、やっぱり申し訳ないという気がする。
    「その程度の時間も作れないなんていうやつならむしろエターナルバンドすること自体見直した方がいいねっ」
     爽やかな笑顔でココモルさんは言うけれど、そんな簡単に考えられない。でもルカさんは本当に自分と一緒でいいのかなんて考えていた筈なのに。結局私は口ではそんなこと言っているけれどルカさんと離れたくないと思っているんだろう。新たな気づきだ。
    「でも、多分彼はちゃんときみと話をしてくれると思うよ」
    「メルさんっ……!」
     にんまりとココモルさんが笑った瞬間、聞き慣れた声が後ろから聞こえて思わず振り返った。そこには案の定ルカさんがいて。ちょっと慌てているみたいだ。よく見たら額に汗が滲んでいる。何かあったのだろうか。私に関わることでルカさんが慌てるようなことといったらルイに関することだろうか。でもそれならば直接私に連絡が入りそうなものだけれど。
    「どこに行ったのか……心配した」
     ため息と共に吐き出された言葉に目を瞬かせた。一応黒渦団の軍令部に行くという話は伝えてあった筈なのだが。確かにその後勢いに任せて占ってもらいに来たけれど、心配されるほど時間が経っているわけではない。精々一時間程度だ。
    「えっと、ごめんなさい……?」
     心配させてしまったのは事実みたいだから取り敢えず謝罪の言葉を口にしたけれど。なんだか機嫌が悪くなった気がする。
    「ルカさんってもしかしてと思ったけど、やっぱりルカ君だったのね」
     くすくす笑うナツオさんに私の頭の中は真っ白になった。知り合いだったなんて。別に交友関係全てを知りたいと思っているわけではないし、私が知らないルカさんの知り合いがいるのは不思議でもなんでもない。
     ないけれど。なんでよりによって。
    「え、お二人はルカさんの……」
     今日話したことはもしかしてルカさんに筒抜けになるのではないだろうか。そんな恐れが胸を過るが二人はふるりと首を振りその可能性を否定してくれた。
    「大丈夫、私たちはメルちゃんがここで何を話したかは絶対に誰にも言わないから」
     もちろん、ルカ君にもね。ナツオさんが顔を寄せて私にしか聞こえないであろう小さな声でそう囁いた。ぱちりと右目を閉じた姿はやっぱり私よりもとっても大人っぽくて、ドキドキしてしまうくらい魅惑的だ。同じララフェルなのに。どうしたらそんな風になれるのか教えて貰いたい。
     嘘であれ本当であれ、今日彼女たちに打ち明けた悩みは全て本当のことだしなかったことにも出来ないから誰にも話さないという言葉を信じるほかないだろう。
    「メルさん、帰ろう?」
    「あ、はい」
     小さな声で話していたのはほんの少しだったけれど、ルカさんをこれ以上待たせるのはしのびない。なにより本人を前に続きを話すなんて出来るわけもないし、ここまでにして帰るしかないだろう。
    「えっと、料金は」
     前に見た占い師さんの鑑定料金を思い出しながらお財布を出したのだが、提示された金額は知っているどの占い師さんよりも安いものだった。破格といっていい。こんな金額で鑑定をしていたら生活していけないのではないだろうか。それとも二人にとって占いは趣味だったりするのだろうか。だとしても話してくれた内容は適格だったし、ためになった。一般的な金額を求められても喜んで支払う。
    「本当にこれでいいんですか?」
    「いいんだよ、ぼくたちも勉強になっているからね」
     占いにも勉強があるのか。なんだか不思議な感じがするけれど、私にはわからない、占い師同士ならばわかるような何かがあるのだろう。潤沢な資金があるわけではないので安価で済むのは正直ありがたかった。
    「あの、本当にありがとうございました」
    「また何か悩みができたらいつでも声をかけてね」
     手を振る二人にお辞儀をして応えて、私は待っていてくれたルカさんの隣に立つ。じっと見ているとやっぱり少し機嫌が悪い気がする。
    「何かあったのかと思ったよ」
     これまでも納品した帰りにマーケットボードを見に行ったりしたことはあったのだけれど。もしかして私がよく行く場所を探し回ったりしてくれたのだろうか。よくよく見れば少し汗ばんでる気がする。申し訳ないことをした。せめてリンクパールで連絡を入れておけばよかったのかもしれない。
    「ごめんなさい」
     先ほどの取り敢えずの謝罪ではなくて、ちゃんと反省して謝ったら、ルカさんの手がそうっと頭を撫でていった。これまで何回も撫でてくれた手。そこに含まれている意味はきっと同じ筈なのに、今日は違うように感じるのはあの二人と話をした結果だろうか。
    「お知り合い、なんですね」
     噂になるような人と知り合いなんてすごいなあ、とか少しずれたことを考えているのは逃げの一種なのだろう。このままにしていてもいいけれど、あの二人が言っていたように誤魔化さないでちゃんとしたい。けれどお顔を見て話す勇気はまだないから代わり映えしないリムサ・ロミンサの空を眺めながら歩いた。
    「モルくんとナツさん?」
     上から聞こえてくる声は優しい。交友関係に言及するなんてと怒られたり不愉快に思われたりしないかとドキドキしていた気持ちがちょっと収まった。
    「あの二人はアーデルの店のお客さん」
    「アーデルハイドさんの」
     なるほど、一時期ルカさんは悪友だというアーデルハイドさんのお店によく顔を出していたから、その時に知り合ったということか。ルカさんの行動を縛る権利はないしどういう知り合いであったとしても私には何も言う権利はないのだけれど。それでも二人と特別な関係ではないのだとわかるとほっとした。
    「悩み事は解決しそう? 占ってもらったんだよね」
    「ううん……解決するかはわからないですけれど」
     ちらりと隣を歩くルカさんを見ると、心配そうな顔でこちらを見ているものだからおかしな話だと思う。一体どこにそんな心配をする要素があるのか。常々ルカさんは私を小さな子供だと思っているのではないかという気がしているのだが、ここ最近特に過保護になっている気がする。
    「取り敢えず、ハウスに戻ってケーキでも食べませんか?」
     ロランベリーソースを使ったチーズケーキを作って冷やしてあるのだ。多分食べごろになっているはず。紅茶も淹れて、のんびりルカさんに聞いてほしいことを話していこう。それと、ルカさんに纏わることで気になっていることを聞いてみるのもいいかもしれない。
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