英雄である前に一人の人であるので目の前で大事そうにグラタンを食べている男は何でもないふうに「エタバンすることになった」と告げた。そんな相手いつのまに見つけたのか。そもそもそういうことに興味なんてないと思っていた。
自分たちの種族はとにかく種を残すことに必死で特定の誰かとの強い結びつきを求めることは殆どない。
里との結びつきは強いが、里で暮らす女子供個人個人との関係は希薄になりがちなヴィエラの習慣をルカは嫌がっているようだったから、エオルゼアでたった一人を見つけたことはある意味納得出来る。けれど、暁の面々に呼び出されたり冒険者ギルドに呼び出されたり、かと思えば調理ギルドであれこれやったりとかなり忙しい日々を送っていた筈なのに。
「誰と」
1989