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    melrose_E

    えれめんたるの某村に住んでるよ
    HLなうちよそのお話をupするよ。

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    melrose_E

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    うちよそ話。
    まだ出会いの話は書いていないけれどこれは出会いの話から続く話だなと今更思うなど。
    メルの過去話です。

    決してお見合いのつもりではなかったんだけどねえと後に彼女は言った カーラインカフェのミューヌさんから一人のヴィエラの青年を紹介され、会うことにしてから。というか「紹介したい人がいる」と言われたその時に既に彼はその場にいたんだけれど。とにかくそんな風に出会ったのが数週間前。今日は折角だから、ちょっと遠出をしようと誘われて、まだ私が足を踏み入れたことがない場所へ連れまわされた。
     私が知らない場所にはまだまだ綺麗な景色がたくさんあって。勿論帝国との争いが絶えない場所もあるし、楽しいだけでは終わらなかったけれど。でもわからないことを尋ねれば丁寧に教えてくれるし、概ね楽しかったと言っていいだろう。だからこそ、折角だからカンパニーに加入しないかと誘われた時に、すぐその場で是と言えなかったのが申し訳なかったし、自分でもなんだか寂しくなった。でもどうしても冒険者になってやっと一か月、といった頃に出会ったあるカンパニーの人たちの姿が脳裏によぎるのだ。
     あの頃私はルイの種族について知りたくて調べたくて。ルイがどう思っているかわからないけれど、ルイの家族を探せるものなら探したいと思っていて。ギルドの依頼を受けた先で一緒になった冒険者に片っ端から聞いて回るなんてことをしていた。
     当然そんな都合よく情報が入ってくるわけがなかった。私がルイを見つけたのはもう十年以上前なのだ。現役の冒険者にその頃のグリダニアについて尋ねたところでその頃冒険者として活動をしていた人は多くない。というよりあの頃の冒険者はほとんどがカルテノーの戦いに赴いているだろうから当時のことを知っている人を探すなんて土台無理な話なのかもしれない。
    それでもなんとかわかったこともあった。同じ種族の人を見かけたことがあるという冒険者がいたのだ。ただ、私には到底行くことも出来ない場所だったし、本当に街中で見かけただけで、どこに住んでいるのか。その種族だけが集まっているような集落があるのかとか、そういったことは結局わからずじまいだ。
    こうなったら、まずはその見かけたという街を目指して冒険者としての腕を磨くのが最優先だろうか。そんなことを考えながらカーラインカフェで仕事の報酬にと貰ったジュースを飲んでいた時に一人の冒険者が話しかけてきた。
     ウルダハではそこそこ名が知られているカンパニーのマスターをやっているのだと名乗ったそのヒューランの男性は、私が探している種族の仲間がいると言った。そしてゴブレットビュートにあるというカンパニーハウスに来ないかと誘って来たのだ。割と切羽詰まっていた私はその言葉に飛びついてしまい、言われるままゴブレットビュートまでついて行った。馬鹿だったなあと今では思う。
     そこには確かにルイと同じヴィエラの元冒険者がいた。そう、元だ。冒険の途中で大きな怪我を負ってしまって今はこうしてカンパニーハウスで食事を作ったり、装備品を作ったりと、カンパニーのサポートをしているのだと笑った。
    その人にルイはヴィエラという種族だろうも教えてもらった。詳しい部族は会ってみないとわからないけれど、会えばどの辺りの生まれかもわかるだろうと言うのだ。それはまさに私が欲していた情報だったから、こうしてこの女性に巡りあわせてくれたヒューランのカンパニーマスターに感謝した。でも話はそれだけじゃ終わらなかった。
    「うちのカンパニーに入れば君が詳しい情報をもっと仕入れることが出来ると思うんだけれど……どうする?」
     マスターさんのその言葉はとても魅力的に聞こえた。私一人の力ではどうにもならないかもしれないと、厳しい現実を突きつけられた後だったから。確かにこのカンパニーは人がたくさんいるらしいから、効率よく情報を集められるかもしれないと思えた。
    「そういえばララフェルはちょうど居なかったな。歓迎しよう」
     そう笑ったのはエレゼンの男性。カンパニーハウスに到着した時に出迎えてくれた人だ。洒落た服を着た物腰柔らかな男性はとても冒険者には見えなかったけれど、きっと魔法を使うジョブなのだろう。最近は冒険者でもおしゃれをしたいと言って本来の装備に全く違う服の姿を投影するのが流行っているというから、この人もそうである可能性もある。だから見た目だけで冒険者らしくないと決めつけるのは間違いだ。そう思うのに、貴族然としたその笑顔に違和感を覚えた。何故なのかはよくわからない。
     ただなんとなく、その笑顔がうさん臭く見えたとでも言えばいいだろうか。誠意を感じられないというか。両親が死んで、弟と二人だけになった時に私にあまり大きな声では言えない仕事を持ち掛けてきた近所の人に似ていた。
    「あの、少し考えさせてください」
     簡単に加入も脱退も出来ると聞いているけれど、それでも今日出会って全く知らない人がたくさんいるカンパニーにすぐこの場で加入するのは止めるべきだと判断した。自分の直観を信じるほうがいい。この選択は間違っていないはずだ。
    「そうか? いい話だと思うんだがなあ」
     マスターが更に言葉を続けようとした時だった。他のメンバーが二人戻ってきたのだ。どこかに狩りに行ったか、それともダンジョンの攻略にでも行って来た帰りなのか、手には戦利品と思われる魔物の革やら肉やらを持っていた。
    「戻ったぞ〜。アインス、こいつ加工しとけ」
     ハイランダーと思われる男性の冒険者が持っていた魔物の革をヴィエラの女性に放り投げた。それなりに勢いよく殴られたそれを女性はかろうじて受け取ると、私に頭を下げてからカンパニーハウスの地下へと続く階段を降りていった。
    「そこのララフェルのお嬢さんは新入り?」
     ハイランダーの男性の後ろからひょっこりと顔を出したのはララフェルの男性。ゴブレットビュートはウルダハの冒険者居住区だから、ララフェルがいること自体はそれほど珍しくないのだろうけれど。
    (でも、さっき……ララフェルはいないって言っていた)
     不信感を募らせながらもそれを表に出すことはせず、とりあえず頭を下げるだけ下げた。なんだか気持ち悪い。早くここから出てグリダニアに帰りたい。
    「お誘いいただいたんですが、まだこちらのお世話になるかは決めかねていて」
     エレゼンの男性の言葉はどういう意味だったのかと問いたい気持ちも隠してなんとか帰るという方向に話をもっていきたい。最悪の場合ここから直接デジョンで帰ろう。礼儀がなっていないと思われるかもしれないがそんなこと知ったことではない。この広いエオルゼアでこの人たちとまた顔を合わせることなんて余程のことがない限りないはずだ。
    「この前までいたララフェルは別のカンパニーの奴に熱望されて移籍したから、君が入ってくれたら嬉しいなあ」
     人好きする顔で求められれば悪い気はしないものだけれど、先ほどの「ララフェルはいない」という発言が気になって仕方がない。女性がいないという意味だったのかも知れないがそれならそれで女性にこだわる理由が知りたい。それがはっきりしない限りこのカンパニーに入ろうとは思えなかった。
    メンバー全員がにこにこと愛想よく笑っているし、粗野な振る舞いは先ほどの魔物の素材を投げた時だけで、それ以外はとても親切なのに。
    「あの」
    「あの……今夜はどうしましょうか」
     とにかくなんでもいいから帰ろう。言い出そう。そう思ったのに出鼻をくじかれた。私の後ろから聞こえてきたのは先ほどのヴィエラの女性よりも幼そうな女の子の声。思わず振り返れば見たことがない種族の女性が立っていた。他にも女性のメンバーがいたのかと驚いたが、人数が多いと言っていたし、このハウスの全ての部屋を見せてもらったわけではないのだから、ここにいる人以外に人がいてもなんら不思議ではなかった。むしろここにいる人と先程の女性で全てならば人数が多いなどと豪語出来ないだろう。
    「今夜はツェーンにノイン、フュンフ、それからフィア、お前もだな。指名が入ってる」
     女の子の問いに答えたのはマスターさんだった。懐から紙切れを取り出し書かれているであろう内容を確認すると先程までのにこやかな表情から一転、ニコリともせずに名前らしきものを女の子に告げた。
    「っ……わかりました」
     なんの話か見えてこないがきっと何かカンパニーでダンジョンの攻略でもするのだろう。私にはまったく縁がない話だが、なんでもこの世界には二十人以上の冒険者を集めてやっと攻略出来るようなとんでもないダンジョンがあるのだと噂で聞いたことがあるし。そういうものに挑戦するのかもしれない。
     そう、だから今話を聞いていた女の子の声が震えているように聞こえたのは、そんなとんでもない場所に行くことに対しての緊張とかちょっとした恐れとか。そういうものからきているに違いない。
    「わかっていると思いますが、準備は入念にですよ。辛くなるのは貴女達なんですから」
     自分がまだ至ることが出来ないような凄いダンジョンだとか依頼だとかなのだと思いたいのに、なんだかちょっとおかしい。準備は大事だ、駆け出しの冒険者の私にだってそれくらいはわかる。でも、彼女たちが辛くなるとはどういうことなのだ。何故彼女は青い顔をして震えているのだ。可能ならばこのまま彼女に話を聞いてみたい。でも聞いてどうなる。辛いことをさせられるらしいとわかっていても私には何もできない。せいぜい不滅隊に相談するくらいだろうか。それだって決定的な何かを見たり聞いたりしたわけじゃないからどこまで取り合ってくれるかわからない。
    「あ、えと。それじゃあ、私帰ります! 今日はありがとうございました」
     これ以上何かを言われたら本当に流されてしまいそうだから、空気を読まず大きな声でお礼を言って、ハウスの入り口まで歩いた。何か言われるかと思ったけれど大丈夫だったことに安堵して、ドアノブに手を掛けたところで、エレゼンの男性がこちらに近づいてきた。何かされるだろうかと少し身構えたけれど、杞憂だった。いや、された。
    「一人が寂しくなったらいつでもおいで。歓迎するよ」
     ララフェル以外の種族の人の顔を見ようと思えば相当見上げなくてはならない。首が痛くなるほど必死になっても、正直あまり顔は見えないのだけれど、この人はわざわざ膝をつき私の目線に合わせてくれた。それで済めばよかったのに、あろうことか頭を撫でられ。おまけに耳まで触れられた。エレゼン族だとこんな風に簡単に相手に触れるのだろうか。ちょっと距離感がおかしいのではないか。信じられない。
    「っ、失礼しますっ」
     笑い声が後を追いかけてきたような気がしたけれどきっと幻聴だ。そうに決まっている。今はとにかくグリダニアに戻って、湯浴みがしたい気分だった。


     あの後、ミューヌさんに問題のカンパニーについて相談してみたけれど、やっぱり現時点ではなんとも言えないし、彼女達には申し訳ないけれど、もし不当なことをしているのであるとしても尻尾を出すまで待つしかないと言われた。
     幸か不幸かその後あのマスターと出会うことなく平和な毎日を過ごしているけれど。いや、全く問題がなかったとは言い難いけれど。とにかくあのカンパニーとはあれっきりだ。あのまま流されてあのカンパニーに所属していたらどうなっていたのかと思わずにはいられない。
     目の前で笑みを浮かべているヴィエラの青年を見る。そんな奴らとは違うだろうと思う。でもどうしてもカンパニーと聞くと構えてしまうのだ。
    「無理にとは言わないけれど。うちは知り合いしかいないし、気楽でいいよ。考えてみて」
     そりゃああなたにとってはそうかもしれませんが、私からしたら皆様全員お名前も知らない種族も知らない全くの他人なんですけれど。と助けてくれた人に対して言えるわけもなく。仕方なく私は曖昧に笑って誤魔化した。
     そんな曖昧な笑みのおかげで、どうやら目の前の青年には私が戸惑っているのが伝わったみたいだ。しばし考えるような仕草を見せると改めてこう言った。
    「それじゃあ、取り敢えず一週間だけ。うちのカンパニーの雰囲気はわかるだろうから」
     人が良さそうな顔をしているけれど、案外強引な人だなと思いつつ、一週間だけならと答えていたのはどうしてなのか。
     自分で自分のことがよくわからなくなった瞬間だった。

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    Replies from the creator

    melrose_E

    DONE暑い日が続くので。涼しいお話を書きたいなってなったのです。
    あと純粋に新しい水着を仕入れたので…

    ヴィエラとララフェルのCPの小話。勢いで書いてるので誤字脱字等々ご容赦くださいな。
    眩しすぎるのは太陽じゃなくて 今日の朝ごはんは私が作った父さん直伝のドードーオムレツと、ルカくんが作ったパースニップサラダにウォルナットブレッド。ウォルナットブレッドは私が食べやすいようにちょっと小さく丸い。しかもほんのり甘い。私の大好きなパン。
     二人でキッチンに立って準備をした朝食は簡単なものばかりだけれど美味しい。何より二人で作って、同じものを食べる日々が楽しい。
    「ねえメルさん海に行かない?」
     オレンジジュースを口に含んだところで突然のお誘い。ちょっと驚いた。
    「この前新しい水着、買ってたよね?」
     確かに買った。去年貰った水着も嫌いではないけれど、先日タタルさんから譲ってもらった無人島で交易を頑張って頑張って頑張ってやっと勝った水着は上に半袖のシャツを羽織れるようにとセットになっていたから重宝しそうだなあと思ったのは確かだ。普通の水着と違って、そのシャツに合わせたショートパンツもあったから、海に入らないにしても暑い時にはいいかもしれないと思って。買ってすぐにルカくんに見せたのも事実なんだけれど。
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